【初場所】カド番・朝乃山が2差追走 昨年の「初休場」で意識変わった

高安(左)を土俵下まで寄り切った朝乃山

心機一転で頂点に挑む。大相撲初場所9日目(18日、東京・両国国技館)、大関カド番の朝乃山(26=高砂)が小結高安(30=田子ノ浦)を寄り切って6勝目(3敗)を挙げた。3連勝で勝ち越しまであと2勝とし、優勝争いでもトップと2差に接近。序盤でつまずきながらも調子を取り戻した大関は「落ち着いて取れたと思う。また明日から頑張りたい」と表情を引き締めた。

朝乃山にとって、今場所は「再出発」の場所。昨年は3月の春場所後に大関昇進を果たす一方、11月場所では右肩を負傷した。初めて休場する悔しさを味わう半面、自分を見つめ直すきっかけにもなった。関取衆との稽古不足を解消するため、12月には合同稽古に初参加。横綱白鵬(35=宮城野)にも胸を借りるなど、出稽古で番付を上げてきた自らの原点に立ち返った。

今場所から締め込みをトレードマークだった紫色から黒へ新調。1年以上前に先代師匠(元大関朝潮)の後援者から贈られたもので、当初は昨年の巡業から使用するプランもあった。しかし、新型コロナウイルス禍で巡業が中止にとなり延期に。年が替わったタイミングで投入し、気分を一新して臨んでいる。

全勝力士が消えて混戦ムードも漂う中、朝乃山は「先のことを考えずに自分の相撲を取り切れば、結果は後からついてくる」ときっぱり。虎視眈々と賜杯を見据えている。

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