栗原、岡本、山本…夢溢れる顔ぶれズラリ! データで選ぶ“25歳以下”ベストナイン

ヤクルト・村上宗隆、オリックス・山本由伸、楽天・松井裕樹(左から)【写真:荒川祐史】

セイバーメトリクスの指標「WAR」を使って選出

キャンプインまで残り2週間ほどと迫ってきた。巨人のリーグ連覇、ソフトバンクの日本シリーズ4連覇で幕を閉じた昨季を経て、各チーム「打倒巨人」「打倒ソフトバンク」を掲げて臨む2021年。助っ人などの新戦力や若き選手たちが定位置を獲得するために熾烈な争いを繰り広げることになる。

ここでは、20年シーズンに時計の針を戻し、次世代のプロ野球を担う「25歳以下」に絞ってベストナインを選出した。打者では「準レギュラー」と言える200打席以上の選手から選出。先発投手は80投球回、リリーフ投手は30投球回以上を基準としている。また、“25歳のシーズンを過ごした”という意味で、1995年1月~3月の早生まれの選手も含めている。

検証はセイバーメトリクスの指標を用いて分析などを行う株式会社DELTAのデータを参照した。「WAR」は「そのポジションの平均以下の代替可能選手に比べて、どれだけ勝利数を上積みしたか」を統計的に推計した指標となり、より数値が大きいほど、勝利への貢献度が大きいとされる。

では、どのような選手が若くしてチームに貢献しているかを見てみよう。

先発:オリックス・山本由伸(WAR 5.0)
救援:楽天・松井裕樹(WAR 2.3)
捕手:西武・森友哉(WAR 2.7)
一塁手:ヤクルト・村上宗隆(WAR 4.8)
二塁手:巨人・吉川尚輝(WAR 2.6)
三塁手:巨人・岡本和真(WAR 5.3)
遊撃手:楽天・小深田大翔(WAR 3.0)
外野手:巨人・松原聖弥(WAR 1.6)
外野手:ソフトバンク・栗原陵矢(WAR 1.1)
外野手:楽天・辰己涼介(WAR 1.0)

オリックス山本は全体でも1位の好成績

先発投手ではオリックス・山本由伸がトップに。“25歳以下”という条件がなくとも、中日・大野雄大と並び堂々12球団トップの数字を記録した。山本の数字が目立つが、広島・森下暢仁(WAR 4.2)が全体でも5位、ロッテ・二木康太(WAR 3.4)が同8位など、若くしてローテーションの軸となっている投手が上位に顔を出す形となった。

救援投手も若きリリーバーが存在感を見せる結果になった。昨季は先発として開幕も、シーズン途中にリリーフ再転向となった楽天・松井裕樹がトップに立った。圧倒的な奪三振率で日本一に貢献したソフトバンクのモイネロ(WAR 2.1)やクローザーとしてシーズン通して安定した投球を見せたロッテ・益田直也(WAR 2.0)、新人王に輝いた西武・平良海馬(WAR 1.7)を抑え、救援投手全体でも1位となる結果になった。

内野陣は豪華な布陣に。本塁打と打点の2冠に輝いた巨人・岡本和真や、新人王に輝いた2019年よりさらに飛躍を遂げたヤクルト・村上宗隆は順当な選出と言える。二塁手はリーグ連覇に貢献した巨人・吉川尚輝に。飛躍を期待されながらも故障に泣かされた2016年ドラ1が初めて通年で1軍戦力として躍動した。史上初となるシーズン守備率10割を記録した広島・菊池涼介(WAR 3.4)には劣るものの、十分、存在感を見せることが出来た。遊撃手はルーキーの楽天・小深田大翔を選出。シーズン途中に定位置を獲得すると、前年まで遊撃を務めた茂木栄五郎が負担の少ない三塁に回り、起用のバリエーションを増やす意味でも新たな風をチームにもたらした。

外野陣はリーグ優勝に貢献した新星が2人

外野陣では、リーグ優勝に貢献したニューフェイス2人が選出される形となった。新たな“育成の星”となった巨人・松原聖弥は開幕から1か月遅れの7月25日にシーズン初出場も、8月中旬から「2番・右翼」の定位置を奪取。2018年の日米野球で来日し、巨人とエキシビションゲームで対戦したカージナルスのヤディアー・モリーナ捕手からも「素晴らしいスピード。いいね、好きだな」と絶賛された俊足で12盗塁を記録し、足でも存在感を見せた。

ソフトバンク・栗原陵矢も昨季に飛躍した選手の1人だ。開幕前のオープン戦と練習試合からアピールを続け、自身初の開幕スタメンを掴むと、波はありながらもシーズン通して主力として活躍。チーム2位となる73打点を記録し、日本シリーズでは14打数7安打の打率.500をマークし、シリーズMVPを獲得する大活躍だった。3人目は楽天・辰己涼介に。プロ2年目を迎えた昨季は打率.223に終わるも守備と走塁でチームの勝利に貢献し存在感を見せる結果となった。

ここで選出された選手たちは昨季チームの中心選手として活躍したことがわかる。ブレークの兆しを見せたロッテ・安田尚憲や藤原恭大、覚醒を期待される日本ハム・清宮幸太郎ら、次世代のプロ野球を支える「新星」が今季終了後にこの陣容に割って入ることを期待したい。(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』も運営する。

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