東京女子プロレス・伊藤麻希 闘うクビドルの苦悩、夢、そして決意 「死ぬまでプロレスします」

【写真右】人気アイドルからレスラーに転身した伊藤が胸中を告白【写真左】逆エビ固めでファンを魅了

【The インタビュー~本音を激白~(5)】東京女子プロレスの伊藤麻希(25)は、福岡を拠点に活動するアイドルグループ「LinQ」を“クビ”になり、レスラーに転身した異色のキャリアの持ち主だ。「闘うクビドル」のキャッチコピーのもとキャリアを重ね、エース山下実優(25)を追い詰めるまでに成長。その人気は今やワールドクラスだが、その道のりは平坦ではなかった。連載「The インタビュー」第5回で「キューテスト・プロレスラー」が語った苦悩、そして夢とは――。

――アイドルからレスラー。そのキッカケは

伊藤 もともとアイドルらしからぬ言動で炎上キャラ的なものをやってて、そこにDDT社長の高木三四郎(51)から「(プロレスを)やってみないか」と話が来て、ちょいちょい出始めたのがきっかけです。

――メジャーアイドルからの大転身だ

伊藤 LinQがすごかっただけで、私は全然売れてなかったですから(笑い)。プロレスには全く興味なくて、好きで見るっていうレベルになったのが去年の自粛中からなんで。キャリアは約4年なんですけど、ようやく自分を表現することができるようになって。

――LinQはクビになったのか

伊藤 大所帯になったので(グループが)3つに分かれて、私は演劇が主体のグループに入ったんです。メジャーアイドルとしてのLinQは実質クビ。でもアイドル業はおなかいっぱいというか、やれる分はやったから、今はプロレスを頑張りたいって思ってます。

――一時期バラエティー番組で「顔がデカすぎるアイドル」としてプチブレークした

伊藤 あのころは、バラエティータレントになりたいと思ってたんですけど、だんだんつらくなってきて(笑い)。それでおととし小顔整形してカミングアウトもしました。80万もかけてたいして小さくならなかったっていうオチなんですけど。

――各団体でアイドル、モデルらがリングに上がっている現状は

伊藤 最初は芸能人がリングに上がるっていうのはすごい嫌だった。テリトリーが侵される感じがして敵視してたんです。ただ今はプロレスは甘いもんじゃないっていうのが身に染みて分かってるから「やれるもんならやってみな」としか思わない(笑い)。

――4日はエース山下とのシングル戦に惜しくも敗れた

伊藤 2年前(プリンセス王座戦)と比べたら手応えもあったし、ファンがついてきてる感じもあったから良かったけど、それで満足してても面白くない。絶対勝たないといけない相手だから、ライバル視します。

――山下は「海外で試合がしたい」と言っていたが、自身は

伊藤 行きたいですね。今まで3回海外遠征したんですけど、受けるんですよ、私(笑い)。初めて米国に行ったときも客席から「マキイトー、イズ、キューテスト、イン・ザ・ワールド!」みたいな声援があってやりやすかった。物販の売り上げも良かったから単純に外国の方が向いてるのかなって。

――ツイッターでは英語でつぶやくことも

伊藤 あれ翻訳アプリでやってるだけで全然しゃべれない(笑い)。でも一応海外の人に向けてです。この先5、6年プロレスやると思うから、その中でずっと日本にいるのもなあって。

――行きたいのはやはりWWEか

伊藤 いや私AEWに行きたいんですよ(笑い)。親しみやすかったんですよね。WWEはたぶん無理。AEWは近いものを感じたというか、結果を残せるなって思ってるので、やってみたい思いはあります。

――改めて目標は

伊藤 これから自分に対するハードルが上がると思うんですけど、それも乗り越え続けて、ゆくゆくは世界中で認められるレスラーになりたい。あと今年は積極的にベルト戦線にも絡んでいきたいです。

――あと5、6年でレスラーを辞めるのか

伊藤 30歳でいったん自分のことを見つめ直そうかなって思ってて。でも普通に働きたくはないし(笑い)、プロレスしかやれることがないから、需要がある限りはやりたいですけど。

――最後に言い残したことがあれば

伊藤 人をねたんでばかりだったんですけど、幸せに生きられるようになりました(笑い)。プロレスのおかげで自分を好きになれて人を許せるようになったんです。…そしたら30歳までとか言ってる場合じゃないですね。やってやりましょう! 死ぬまでプロレスします!

☆いとう・まき(本名非公開)1995年7月22日生まれ。福岡・小郡市出身。アイドルグループ「LinQ」で活躍し、2016年12月11日に東京女子の福岡・博多スターレーン大会でプロレスデビュー。17年8月にLinQを“クビ”になり本格的にレスラーへ転身した。19年10月にはインターナショナル・プリンセス王座を獲得。狂気的なパーソナリティーと、カリスマ性あふれるマイクで観客を魅了する。得意技は抱え込み式逆エビ固め、ヘッドバット。160センチ。

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