「DVD=2」亜無亜危異「NEW LI(F)VESTYLE?」都内クルーズゲリラライヴと40周年記念無観客ライヴ

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 うわー、いい、これはいい! 胸が熱くなってぎゅっと心臓をつかまれて、五臓六腑に汗をかいてすがすがしい気持ち。今、このパフォーマンスに出会えたことがうれしくなって、いつもよりプレイヤーの音量を上げてしまった。

 1978年結成のパンクロックバンド・亜無亜危異。彼らの最新映像作品は、まず大型バスを貸し切っての1日都内クルーズゲリラライヴの模様がDISC1に、2020年10月に東京・神田明神で開催された記念ライヴ『デビュー40周年祝賀会 限界突破SHOW』の模様がDISC2にそれぞれ収められている豪華版だ。

 DISC1では2020年5月にリリースされたばかりのニューアルバム『パンク修理』の楽曲たちを、彼ららしく見繕ったロケーションに乗りつけて爆音でライヴするという趣向。国会議事堂、アメリカ大使館、皇居に渋谷のスクランブル交差点……。ときおりフレームインする車窓には、驚き振り返る人、駆けつける警察官、スマートフォンを向ける若者などの姿があり、彼らの視点から2020年の世相を写し出しているようだった。ライヴにドキュメンタリーのメッセージをひとさじ。ギリギリのコーナリング、という感じがなんとも痛快だ。

 DISC2のライヴは、完全入れ替え2部制で行った17日と、初日に行った40曲をすべてプレイした無観客・有料配信ライブの18日の映像の双方を混ぜ込んだ内容。このところよく目にするようになった「無観客ライヴの映像化」は、やっぱりちょっと切ないけれど、厳戒態勢の中行われた完全入れ替え制のライヴの空気もまた独特なものであったことが、ちょっとすき間のあいたオーディエンスの背中から容易に想像できる。音楽はいかにして成立するのか。もちろん、独白のような「私だけ」の音楽はありうるだろうが、伝えるものと受け取るものの心からの共振によって、その力は何倍にも膨れ上がることがある、大いにある。こうなったら50周年、いや45周年でもいいから、またこんなパフォーマンスを私たちに届けてほしい。ファンたちは、万感の思いでライヴハウスに押し寄せるだろう。

(日本クラウン・5636円+税)=玉木美企子