新潟県の花角英世知事の定例会見、原発技術委員会の委員再任問題の質問が相次ぐ

花角英世知事

新潟県の花角英世知事の定例会見が20日行われ、柏崎刈羽原発の安全性を議論する県技術委員会の委員4人が高齢を理由に再任されない問題について、全国メディア新潟支局の記者などから質問が相次いだ。主なやり取りは以下の通り。

——県の技術委員会の4人について年齢要件をもとに県が再任しない方針です。これについて一部の委員から柏崎刈羽原発の安全性の議論が続く中、継続性が損なわれるという指摘が出ていますが、どのような考えですか。

知事 技術委員会の委員はこれまでも随時交代してきている。これまでも15、16人は拡充したり追加したり交代したりで入れ替わってきている。この8年は技術委員会の本来の仕事に上乗せする形で、福島原発の事故原因の検証作業をお願いした経緯があって、この8年くらい本人の事情でお辞めになった人はいたかもしれないが、基本的には固定をして、作業を継続していただいた。検証の作業に一区切りがつき、これから技術委員会の本来の検証に集中していただくので、2年ごとの区切りのタイミングで年齢要件とか福島の検証の関係でお願いした方については、退任いただくということ。3月末までに、4人だけでなく、それ以上に交代やお辞めになるということで整理することになる。

——原発に対し厳しい指摘をしていた委員もいると思いますが、そうした人を変えたかった訳ではないのですか。

知事 レッテル貼るようなことはやめていただきたい。これまで原発をどう判断するかについて、丁寧に時間、労力をかけて、研究者の方や専門家が、客観的、学術的にご議論をいただいて、、県民の誰もが信頼できる資料(県民が判断する客観的な材料)を作ってきていただいている。それに色をつけるような言い方をされることは非常に心外。それ(積み上げた議論をもとにした客観的な資料)をダメにするような言い方は大変失礼だと思う。

(委員会の議論の中に)最新の知見を入れていただきたいと思っている。特に技術委員会ですから、技術は進歩し、進んできている。そういうところで、この8年は固定したが、常に新しい知見を入れて、最新の技術の状況で、安全性や妥当性を議論して整理していってもらいたい。

これまでの技術委員会の議論というのは都度、委員から論点を出していただいて、規制委員会や東京電力などの関係者から説明をしてもらったりしながら、議論する中で論点を整理してきた。これを積み重ねてきているので、継続という形ではなく、論点ごとに積み重ねてきている。今回もそういう新しい知見を持った方に集まっていただいて、議論を積み重ねていっていただきたいと思っている。

——一部の委員が再任を求めているが、それについてはどのようなお考えか?

知事 審議会や委員会は、高齢化が進んでしまうという傾向があるということで、県の委員会の内規で基本的には一定の年齢になったら新しい方に交代していただいている。国も多くの自治体もそうだと思う。

——技術委員会の委員は14人いて、年度末には7人になるが、現状の人員を維持することにも一定の合理性があると思う。このタイミングで委員を入れ替える、規模を縮小するというのはなぜですか。

知事 福島の事故の検証のために入っていただいた方々が5〜6人いるのではないか。その方々は一つの区切りがついたので退任していただくというのは普通のことだと思う。

——再任しない旨を県から伝えられた委員からは、これまで積み上げられてきた議論が引き継がれない懸念、不安があり再任を求めている。その辺りはどうですか。

知事 (同じ論点をずっと議論しているのではなく、)論点を出して、それを議論し整理し、また次の論点を議論し整理する。それを繰り返して蓄積してきていると承知している。

——再任されない一部の委員から知事宛に継続したいという要望書を出す人もいるようですが、要望書が来た時にどのように対応するのですか?

知事 拝見します。

——中身を見た上で、その後に考えるということですか?

知事 (委員の選任については)いま申し上げた考えのもと、やってきたし、今後も変わりはない。今回(固定した)この8年が異例だった。

——70歳以上という内規が(退任の)根拠になっているということですが、70歳以上の委員にいることでどんな影響があるとお考えですか?

知事 影響があるということではなく、これまでの経験値で、国も同じで、いろいろな審議会で高齢化が進んでいるというのがある。技術が変わっていく中で、最新の知見、現役でバリバリ活躍している方を(委員に)取り入れていく努力はいるのだと思う。一概には言えないが、一般論として世代交代を図っていかなければならないと思う。

——技術委員会の中にいる方たちはその道のかなりの専門家です。プロ中のプロの方も多くいると思いますが、そういう専門性よりも新しい知見ということですか?

知事 若い研究者もどんどん育ってきている。そうした方たちはまさに最新の知見をどんどん積み上げている。それを議論に取り入れていくことは自然なこと、やるべきこと。

——(団体、学会などに)推薦をお願いしているという話ですが。

知事 基本的にこれまでも交代するときは、県には知見がないので、どんな審議会でもそうだが、基本的には知見を持った方を推薦していただくということを繰り返してきていると思う。

——任命権は県にあると思ういますが、推薦された方は基本的に県はそれを認める方向ですか?

知事 例外はあるかもしれないが、県は知見を持ち話せていないので、基本的にはこれまでも推薦していただいた方にお願いしてきている。

——先ほどの質問にもありましたが、議論の継続性に関し、いきなり委員に入った方は中越沖地震のことなど、これまでの議論がなかなか分からないのではないでしょうか。

知事 それは専門家に失礼ではないですか、そういう言い方は。それなり学術研究を続けられてきている方々ですから、当然これまでの議論の整理は、資料などをお読みになれば、十分ご理解できるのではないか。

——委員数が15人、いま14人になっていますが、10人以下まで減ら…

知事 しっかり取材していただきたいが、福島の事故原因の検証のために増やした方がいて、その作業が終わり、ひと区切りがついたので、そこは整理し退任していただくということ。これから技術委員会の本来の仕事に戻って、色々な角度から柏崎刈羽原発の安全性、例えば規制委員会がやった審査、東京電力がやっている工事の内容など、疑問点を論点として取り上げながら議論をして整理をしていくという本来の作業に戻る。そのために必要な分野、人数というのはその都度、必要があれば追加すればいいと思う。

——技術委員会の開催回数が増えていますが。

知事 従来と比べて、どのくらいの頻度なのかそこまでは承知していないが、まさに技術委員会の人たちに精力的にご議論していただいているということだと思う。

——再任を求める要望書ですが、基本的には認められないということですか。

知事 ですから別に確執的なものではない。一般論として世代交代はどの委員会でもやっていく必要があると思う。

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