東北道の多重事故 ネクスコ“危険地帯”検証へ

警察は、現場付近で数メートル先すら全く見えなくなる「ホワイトアウト」が起きたとみています。過去にも冬場、多重事故が起きている危険地帯での事故に、東北道を管理しているネクスコ東日本は検証する考えを示しています。

事故現場付近では、これまでにも冬場、大規模な多重事故が起きています。1992年2月、古川インターチェンジ付近で67台が絡む事故が発生し、2人が死亡、27人が重軽傷を負いました。

2000年12月には、三本木パーキングエリア付近で64台が絡む玉突き事故が発生しています。

こちらは、19日正午すぎ、事故現場付近で撮影された映像です。西からの強い風により、積もった雪が巻き上げられています。JAF日本自動車連盟では、この時間帯にホワイトアウトになっていた可能性を指摘します。

JAF東北本部事業部・宮腰直人部長「非常に広々として、周囲も田園地帯になっている。風を遮るものがないので、比較的風が抜けやすい。こういった状況になるとドライバーの方が前が見えなくなる、いわゆるホワイトアウトの現象の中で、かなり恐怖感を覚えただろうなと」

ホワイトアウトが起きた理由として、地理的な要因に加え、気象条件も重なりました。気象台によりますと、事故現場に近い大崎市古川では、午前11時56分に1月としては観測史上最大となる最大瞬間風速27.8メートルを観測していました。

当時の気温はマイナス3度を下回り、日差しもほとんどない中、正午には10センチあった積雪が、午後1時には6センチと4センチ減っていました。

仙台管区気象台・木立芳行さん「解けたということもないですし、沈んだということもないと思いますので、風も強かったので飛ばされたという可能性が高いと思います。一般的に、気温が低く風が強いと雪が降っていなくても積もっている雪が風によって吹き上げられる、巻き上げられる現象は起こるかと思われます」

気象台は現地調査をしていないため、断言できないとしながらも、「地吹雪が起きる条件が重なった可能性が高い」としています。

では、ホワイトアウトに遭遇した場合、ドライバーはどう対処したら良いのでしょうか?

仙台管区気象台・木立芳行さん「まずは速度を落として、車間距離を空けることが第一。ライトをつけることでテールライトもつくので、自分の車を周囲の車に知ってもらうことも大事」

一方、東北道を管理しているネクスコ東日本は、現場周辺の東北道の上下で50キロの速度規制を行っていました。速度規制や通行止めといった規制内容は、天候や道路状況を踏まえて警察と協議した上で決められます。

ネクスコ東日本では、19日午前11時ごろに事故現場付近をパトロールし、当時は前方を見通すことができたため、通行止めとする基準に達しなかったとしています。

地吹雪は、積雪や風速、気温など複数の気象条件が重なって発生するため、規制内容の判断に反映させることが難しいとしていて、今回の事故について検証する考えを示しています。(20日18:52)

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