パート主婦、FXで50万円を失ってから“貯金”で不動産投資を始めるまで

主婦ながら、サラリーマン時代とパートで貯めたお金を使って不動産投資をスタート。コツコツと9年間続けた結果、不動産による収入が月100万円を達成した、パート主婦大家なっちーこと、舛添菜穂子さん。不動産投資をはじめようと思い立った頃は独身の会社員だったそうですが、なぜ不動産投資に興味を持ったのか、また主婦をしながらどのようにして物件を購入したのか詳しく聞きました。


なるべく借金ナシで投資するスタイル

――不動産投資には種類がありますが、なっちーさんはどのような手法を行っていますか?

築古の戸建てが中心ですが、団地や区分マンションなど数百万円で購入できる不動産を購入しています。2018年にようやくアパートも購入しました。それから転貸でレンタルスペースも運営しています。ここ数年は融資を使った不動産投資をしていますが、基本的には「古い物件を現金で購入して、なるべく安くリフォームをして貸し出す」というスタイルです。またタイミングを見て売却も行っています。

――現在どれくらいの不動産を所有していますか?

購入した戸建ては13戸ですが、1戸売却したので現在12戸所有しています。その他に、区分マンションを3戸購入して2戸売却。あとは団地3戸購入して、1戸売却。アパート1棟4戸を所有しています(合計16棟19戸)。また所有ではなくて借りた物件で行っているレンタルスペースも1戸あります。こうして並べてみると、たくさん不動産を所有しているようにも見えますが、9年かけてコツコツと買い増やしています。

――不動産投資をはじめたきっかけを教えてください。

私は大阪で生まれ育ったのですが、短大を卒業したタイミングが就職氷河期でした。就活がうまくいかず、なんと50社も落ちてしまいました。結局、短大の先生の紹介でアパレル会社に就職できたのですが、4年ほど勤めたところでリストラ。その後、倉庫会社に転職したものの今度は倒産してしまいました。そのときに「会社は絶対ではない。ちゃんとマジメに勤めていても職を失うことがある」ということを痛感しました。そして「将来に備えてお金を貯めよう」と思いました。

――就活の失敗にリストラ、倒産。大変な20代ですね。

ただ、リストラや倒産の際もそれぞれ100万円程度の退職金がいただけましたので、そこは良かったことです(笑)。どちらも手取りで15万円にも満たないお給料でしたが、実家暮らしなので、生活に困ることはありませんでしたし。でも本来なら楽しくサラリーマン生活を満喫しているような時期なのに、徹底した節約生活を続けていました。週末には知り合いの飲食店でアルバイトもするなど、振り返ってみると涙ぐましい努力をしていました。

手取り18万円なのにFXで50万円を失う

――投資をはじめたきっかけは何だったのでしょうか?

そうやって貯金を続けているうちに、今度は「お金を増やそう」という思いが生まれました。それで国債や金利の高い投資信託を購入するようになって、その延長線上で「投資」に目を向けたのです。はじめてやった投資は不動産投資ではなくてFXでしたが、これが思いっきり損をしてしまいました。金額は50万円程度ですが、当時3社目の会社に勤めていて、そこは連日終電まで働かされるようなブラック企業にもかかわらず、手取りは18万円でしたので、50万円失ったのが本当にショックでした。ただ投資を止めようとは思わなくて、「もっと良い投資はないか?」といろいろ調べるようになったところで「不動産投資」に出会いました。

――すぐに不動産投資を始めようとしたのですか?

たまたまテレビCMで見た新築ワンルーム投資に「これだ!」と飛びついてしまいました。今でこそ新築ワンルーム投資は利回りも低く、そこまで利益が出る投資ではないと認識しています。でも、その当時はまったくわからず、すぐに不動産会社に問合せを入れました。ところが私は「お断り」されてしまったんです。というのも、ちょうど交際相手との結婚が決まり退職する予定でした。それを話したら「退職する人はローンが組めませんから、ご主人を連れてきてください」と言われたのです。

――結局、新築ワンルームは買えなかったのですね。

買えませんでした。これから結婚するというタイミングでしたから、いきなり「不動産投資するから借金してほしい」というのは夫には言えませんでした。ただ、これで諦めてしまうのは悔しくて、むしろ「絶対に自分の力で不動産を買おう」という気持ちになりました。その頃の夫は千葉に住んでおり、結婚したら大阪から千葉に引っ越すことになりました。そこで、千葉に引っ越してから本格的に不動産投資をするための行動を起こそうと決心しました。

――では、千葉に引っ越してからすぐに不動産投資をしたのですか?

いえいえ、まだまだ買えません(笑)。まず、不動産投資をはじめるにあたって夫に頼る気はないので貯金を続けなければいけません。そこでデパートの販売員のパートをはじめました。そして働きつつ不動産投資の本を読んで勉強して、セミナーにも出向くようになりました。それをしながら、夫にも「不動産投資をしたい」ということを少しずつカミングアウトして、理解を得るようにしました。

――パートナーの反対はなかった?

最初は心配していたようです。借金をしないこと、自分の貯金ですることなどを説明してなんとかわかってもらいました。不動産投資家のなかには、ご夫婦で一緒に不動産投資をされている方もいらっしゃいますが、それは本当に理想形ですね。我が家の場合は、不動産投資には興味がないようです。でも配偶者に反対されて不動産投資ができないという方もいっぱいいますから、理解を得られただけでも感謝しています。

指値が通って、350万円で1戸目を購入

――1戸目の物件が買えたのはいつですか?

2011年の夏に大阪の吹田市にある駅から徒歩5分の戸建てを見つけました。値段は500万円で、私の自己資金は国債を切り崩した500万円だったので、購入時の諸費用やリフォーム費を考えると予算オーバーです。情報が出てからしばらく経った11月に、大阪へ帰省する用事がありました。その際に問合せしたところ、最初1000万円で出ていたものが、反響がなくて徐々に値下がりして500万円になり、交渉すれば400万円にはなるだろうという話でした。そこで思い切って指値をしたところ、350万円で購入できたのです。こうして、2012年1月に念願の大家さんになることができました。不動産投資をはじめようと思って勉強をはじめたのが2009年ですから3年目ですね。ずっと物件がほしかったので、買えたときは本当に嬉しかったです。

――その後は順調でしたか?

それが、購入するまでより、購入してからがすごく大変でした。リフォーム・客付け(入居募集)ともに大苦戦しています。今でこそ笑って話せますが、当時は相談できる人もいなくて、苦しくて辛かったです。

不動産投資を志して3年目にようやく1戸目の戸建てを購入できた、なっちーさん。次回は物件を修繕して、入居者を付けるまでの紆余曲折を聞きます。

(※本記事は不動産投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。)

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