【インタビュー】核禁条約交渉会議で議長を務めた エレイン・ホワイト氏 「廃絶へ活動続けて」

 2017年、国連本部で開かれた核兵器禁止条約交渉会議で議長を務めたコスタリカ外務省軍縮担当、エレイン・ホワイト氏が長崎新聞社のテレビ電話インタビューに応じ、条約発効への期待感などを語った。被爆県の市民に向け、「核廃絶を求める活動を続けてほしい」とメッセージを送った。

 -交渉会議で印象に残っている出来事は。
 (17年3月の第1回交渉会議直後の)4月に初めて長崎市を訪れ、田上富久市長と面会した。「被爆者の年齢は80歳を超えている。私たちは危機感を持って核廃絶のために世界に働き掛け続けなければならない」と語ってくれ、国際社会に「非人道性」を訴えていく課題があると痛感した。(17年6月から、条約を採択した同年7月7日にかけて開かれた第2回)交渉会議で、長崎の人々の証言を会議で伝えた。条約に「ヒバクシャ」がうたわれるきっかけの一つになった。

 -発効後に期待することは。
 米国の「核の傘」の下にあるベルギーなど、一部の北大西洋条約機構(NATO)諸国は、条約を肯定的に評価する政策を発表しており、今後、NATO諸国が条約の締約国になり得ると期待している。日本など特定の国について(発効が及ぼす影響や注文、期待感などを)発言できる立場にないが、「核の傘」国が締約国となることで、条約の履行義務の一つである「核兵器の廃棄」が促進され、条約の力が増すはずだ。

 -昨年10月の発効決定以降、批准数が一つしか増えていない(1月18日現在)。条約の今後をどう見るか。
 (批准の前段階となる)署名をした国・地域は86(批准含む)ある。見方を変えると、今後、30以上の国・地域が批准する可能性が高いということだ。現時点では、核保有国や「核の傘」にある国が条約に入っていない。発効後1年以内に開かれる締約国会議で、核保有国をはじめ、多くの国が批准しやすい仕組みづくりを議論する必要がある。

 -核兵器廃絶に向けて、被爆地である本県の市民に求められることは。
 条約発効は、核兵器なき世界を追求する最も強い「約束」だ。長崎の人々は、被爆者が75年間続けてきた核廃絶を求める活動を続けてほしい。被爆者は1日も休むことなく声を上げ続けたのだから。

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