女性がん患者4人に1人「検診延期」コロナ感染不安で  横浜の支援団体調査

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、女性特有のがん患者の4人に1人が「現在治療中のがん以外の部位のがん検診を自己判断で延期している」ことが、支援団体の調査で明らかになった。感染への不安から自主的に通院や検診を延期しているケースが少なくないとみられ、同団体は「がんの早期発見に検診は欠かせず、発見の遅れなど長期的な影響が心配される」と早期受診を呼び掛けている。

 調査は昨年4月に続く2回目で、女性がん患者のため会員制交流サイト(SNS)を運営する一般社団法人ピアリング(横浜市都筑区)が昨年12月12日から1週間実施。会員約9300人を対象にしたオンライン形式のアンケートで、1085人が回答した。

 新型コロナ感染拡大の「第3波」とされる11月以降の「現在治療中のがん以外の定期がん検診」について尋ねたところ、56%が「予定通り受けている」と回答したものの、24%は「自己判断で検診を延期」と答えた。「病院から予約を断られた、延期を告げられた」との回答も2%あった。

 また、直近の世帯収入を昨年1月と比較したところ「増えた」との回答が4%だったのに対し、「ほとんど変化はない」が55%、「減った」は40%に上った。さらに、コロナ以前と比較した会員本人の就労状況の変化に関する問いでは、31%が「仕事の量、回数が減った」「自分の意志で退職した」「(パート、派遣社員だったが)契約更新されなかった」などと答えた。

 自由記述欄には「がんサロンなど患者同士の支え合いの場が開催されず、孤独感が増している」「化学療法中などで抵抗力が低下している中、交通機関利用が怖い」との記載があった。

 調査結果を受け、ピアリングの上田暢子代表は「自己判断による通院延期」は楽観視できないとの見方を示し、「主治医と相談しながら治療を進めるよう呼び掛けていきたい」と説明。収入減に関しては「治療費の負担が重いがん患者の経済的環境の悪化が懸念される」と語った。

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