【人生を変えることば選び】受験生に送りたいエール「どんな結果も途中経過」

どんな結果も途中経過

【ほめ達・松本秀男 人生を変えることば選び】いよいよ本格的な受験シーズンとなりました。

今年は緊急事態宣言下の地域もあります。さらに大学受験で言えば、30年続いたセンター試験が大学入学共通テストに変わった最初の年。実は私の次男が大学受験なのですが、「後々まで語れる年だね」と言ったら、苦笑してうなずいておりました。本人たちは大変でしょう。そばにいる私たちはしっかりと応援したいですね。

私は高校の同窓会の理事をしております。そのため毎年母校の國學院高校の文化祭に同窓会ブースを出して、生徒たちに無料で紙製の絵馬を書いてもらっています。学校見学で文化祭に来た中学生や、高3の在校生が合格祈願などを書いていきます。それを湯島天神さまのご好意で、毎年まとめてご奉納、ご祈願させてもらいます。その時の神主さまの祝詞が素晴らしいのでご紹介します。

普通ならば「神様、願いを聴いてあげてください」というものでしょうが、さすが学問の神様は違います。私なりの意訳ですが、次のような内容です。

「もちろん生徒たちは努力が大切だと考え、日々頑張っています。ただ人のチカラだけではかなわないこともございます。受験生が受験の日に落ち着いてチカラを出し切ることができるように、そして願いがかなうように、どうか応援していただけますか?」

考えてみれば全員合格とはならないのが現実。まず本人が努力すること、そして周りがその努力を認め、応援すること。受験に限らず、人の世の中で一番大切なことに思います。
「そんなこと言っても結果が全てでしょう!」

それも理解できるご意見ですが、結局のところ受験も就職も「人生の途中経過」でしかありません。受験に合格したから人生バラ色とも言い切れないですし、合格できなくても人生バラ色に変わっていくことがいくらでもあることを、私たち大人は知っています。

私の次男は去年の夏まで家では一切勉強してなかったのですが、夏からは人が変わったように頑張っています。その頑張りができることだけで、人生を生き抜けると親としては思います。ですから彼にはこんなふうに伝えています。

「山登りと一緒で、自分が登ったぶんはなくならない。よくぞここまで登ってきた! そこに自信を持っていい。そしてどんな結果も途中経過。安心して登り続けよう」と。

受験に限らず人生という山登り、応援し合っていきたいですね。

☆まつもと・ひでお 1961年東京都生まれ。国学院大学文学部卒業後、さだまさし氏の制作担当マネジャー、ガソリンスタンド経営を経て、45歳で外資の損害保険会社に入社。トップ営業マンとなり数々の実績を作る。現在は一般社団法人・日本ほめる達人協会専務理事を務め、企業セミナーなど多方面で活躍中。著書に「できる大人のことばの選び方」や「できる大人は『ひと言』加える」など。

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