個人の努力限界「あとは借金しか」…コロナで細る収入、働き口も消えた 県民アンケート

 新型コロナウイルス感染症の影響で経済活動が戻らない中、多くの人が思うように仕事もできず、日々の生活にも苦労していることが、琉球新報とおきなわこども未来ランチサポート(実施主体・琉球新報社、おとなワンサード、日本郵便沖縄支社)のアンケートで浮き彫りになった。「できることはやり尽くした」「あとは借金するしかない」との声も聞こえる。

 「厳しいのは飲食店だけじゃない。卸業者もいるんだよ」。那覇市内の飲食店に食材を卸していた60代後半の女性は訴える。

 市場で仕入れた野菜などを飲食店に配達し、年金に足して生活してきた。忙しくて買い物に出られない店に新鮮な食材を届け、モヤシのひげ取りなど下処理もして喜ばれていたという。

 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛などが影響し、飲食店が仕入れる食材の量は減り、経費節減のため、女性から買わず市場へ直接調達しに行くようになった店もある。「買ってもらえなければ、どうしようもない」と途方に暮れる。

 月に数万円の年金は家賃と光熱水費、健康保険料などの固定費で消える。年末までは最大4カ月間受けられる緊急貸し付けで乗り切ったが、それも終わった。子どもがいるが、コロナの影響で生活は皆ぎりぎりだ。「来月の年金支給日まで入るお金がない」。交通費が出せず、母親の命日にお墓にも行けそうにない。長年働き、子育てもして「あとは借金するしかないのか」とつぶやいた。

 那覇市内の40代の女性は勤めていた流通関係の会社がコロナで業務を縮小し、年末に解雇された。長時間労働など「ブラックだった」というその前の職場で体が持たなくなり、秋に転職したばかりで失業保険もない。

 ハローワークに通い、コンビニなどにある無料求人誌は全て集めて確認し、ネット上の求人情報にもくまなく目を通す。しかし「以前なら面接まで進めたようなところも、今は全然だめ」と雇用状況の悪化を実感する日々だ。

 頼れる身内も近くにいない。削れる出費は光熱費や食費ぐらいしかなく、「断捨離も兼ねて」と衣類など持ち物の大半をリサイクルショップに売り払った。役所にも相談に行き「できることは片っ端からやっている。これ以上何をしていいか分からない」と話す。

 観光業が主要な県内にあって「コロナで観光客が減ることも予想できていたはずなのに、行政は対応が遅すぎる。元々貧困率も高いのに、もっと早く手を打ってほしかった」。個人の努力ではどうにもならない状況に「頭の中を整理できず、ぐちゃぐちゃだ」と嘆いた。

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