【初場所】コロナ禍で15日間を完走 相撲協会は感染防止策の〝成果強調〟も先行き不透明

芝田山親方

大相撲初場所(東京・両国国技館)は幕内大栄翔(27=追手風)の初優勝で幕を閉じた。今場所は新型コロナウイルスによる緊急事態宣言下での開催。「中止」の危機と隣り合わせだった。

年明けには横綱白鵬(宮城野)の感染が判明。角界内に大きな衝撃が広がった。日本相撲協会は場所直前に親方、力士ら全協会員を対象にした緊急検査を実施し、そこでも感染者が相次いだ。

相撲協会は陽性者だけでなく、濃厚接触の可能性を考慮して所属部屋全員を休場させる措置を取った。その結果、初日から関取衆だけで戦後最多の16人が休場(腰痛で休場の鶴竜を含む)。幕下以下を合わせて4部屋で合計65人もの力士がコロナ関連で出場できなくなる異常事態となった。場所前に陽性者が出た九重部屋では場所中にも新たな感染が判明し、最終的には17人にまで拡大。改めて集団生活の感染リスクが浮き彫りとなった。

一方で、初場所に出場した力士の中で新たな感染は確認されず、場所の運営に大きな混乱が生じる事態は避けられた。芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「ちゃんと国の方針の中で対策を取って、15日間を乗り切れた。場所直前、PCR検査をしたことが大きい。あのまま感染者が混在していたら、どうなっていたか分からない。休んだ部屋の力士は残念だったかもしれないけど、仕方がないこと」とコロナ対策の成果を強調した。

実際、協会の対応で感染拡大が防げた部分があったことは確か。ただ、国内の感染状況を見れば、初場所の出場者の中で新たな陽性者が出ても決しておかしくはなかった。ネット上では最後まで中止を求める意見が絶えず「大成功」と手放しで喜べる状況ではない。果たして、来場所以降も無事に開催を続けることができるのか。今後も〝綱渡り〟が続くことになりそうだ。

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