「6-4-3」→「4-6-3」併殺の好みに変化 ヤクルト取材で増した磯山さやかの野球愛

タレントの磯山さやかさん【写真:荒川祐史】

インタビュー後編、プロ野球選手は「やっぱり違うんだな」

昨年10月にデビュー20周年を迎えたタレントの磯山さやかさん。高校時代は硬式野球部のマネージャー、2006年には東京ヤクルトスワローズ公認女子マネージャーに任命され、プロ野球の魅力もリポートしてきた。今でも好きなプレーは「6-4-3のゲッツーです」と笑う。インタビュー後編では磯山さんにとっての野球の魅力を聞いた。(聞き手・新保友映)

――高校野球のマネージャーから、ヤクルトの球団公認マネージャーに。野球を見る目は変わりましたか?

「盗塁も最初は『走った! すごい!』だけだったのが『次、走るかな』という見方になりました。でも、そのくらいで、選手がフォームを変えてもわからないくらいです(笑)。ヤクルトには当時、ラミレス選手がいて、外角低めが苦手だった時期もありました。そこに投げる相手のバッテリーはすごいなというか、そういう心理戦にも面白さを感じたりしていました」

――初めてプロ野球選手を間近で見た時、どのような印象を持ちましたか?

「高校のマネージャーの時は甲子園が夢の最高峰。身近にプロを目指す人もいないし、プロ野球の試合もほとんど見ていませんでした。プロ野球選手のイメージは“お金で野球をやっている人たち”。でも、それが違うとわかったのが、ヤクルトのマネージャーになり主催試合を練習から毎日見るようになってからでした」

――どのあたりに変化があったのですか?

「もちろん高校生とは練習のレベルも違うし、プロなのに一生懸命、練習をしている姿を見て『すごい!』と思ったんです。やっぱり違うんだな、この世界の人たちって、と。この世界に入ることがすごいですし、試合の中でチャンスを活かすなんて、もっとすごいと思うようになりました。解説者さんとも一緒に観ているから余計に感動してしまう部分もあって」

――当時はお昼頃から試合終了後まで、球場で仕事をするという生活を送っていましたよね。野球の仕事のきっかけはどのようなものだったのでしょうか?

「高校野球が大好きだったので、仕事で携われたらいいなとは思っていました。そんな時に、フジテレビでヤクルトの中継番組をやるということで(スタッフの方と)高校野球が好きで『6-4-3のゲッツーが好きです』という話をしたり、付けていたスコアブックを見せたり…本気だと思ってもらえて、担当になったんです」

――私も当時、近くで磯山さんを見ていて、メモを片手に真剣な眼差しで取材をしていた姿は印象に残っています。周りの人たちからも一目置かれていました。野球を見る目が鋭くなっている感じも受けました。

「今では4-6-3が大好きだし、4-6-3の方がすごいなと思うんですけど、当時、素人だった私からするとあの流れるような動きがすごいな、と。アライバ(中日の荒木・井端の二遊間)コンビとか見ているうちに、4-6-3のゲッツーがすごいなと思うようになって(笑)。当時はまだ野球に携わる女性が少なかったから、6-4-3のゲッツーが好きという言葉のインパクトもあったのかなと思います」

磯山さやかさん(左)とインタビュアーのフリーアナ・新保友映【写真:荒川祐史】

ファンが望むことは何だろう…取材者として心がけていたこととは

――ペン記者さんと同じ立場でぶら下がり取材もしていたので大変でしたよね?

「高校の野球部時代は選手にあまり話しかけちゃいけないというのがありました。選手から話を聞き出さないといけないんですが、ぶら下がりとかも苦手で……。テレビでのインタビューならできるけど、それ以外の時は躊躇してしまって。でもファンが望むことって何だろうって考えると頑張らなければって思っていました」

――芸能の仕事を始めた頃から野球に関わる仕事はしたかったのですか?

「そうですね。野球だけでなく、私は吹奏楽部の経験もあるので、夏に金管楽器や木管楽器をやる大変さ、ずっと吹き続ける大変さもわかるから、そういった高校野球のサポートの仕方を伝えられたらと思っていました」

――高校野球はマネージャーにとっても、吹奏楽部にとっても、思い出の1ページになりますからね。

「マネージャーを知らない人は、1日だけでも、できれば1か月密着してもらえると大変さもわかってもらえると思います。マネージャーも一緒に戦っているから、部員さん以外のプラスで『こういう人たちがいるよという、周りの人たちの“サポート力”を経験者として伝えられたらいいなとも思っていました」

磯山さんは飾ることなく自分の言葉で気持ちを伝えてくれた。一緒に取材をした時期もあるが、裏表なく全ての人と接する。その魅力の基盤は、高校のマネージャー時代“周りのために”とどんな大変なことも乗り越えてきたこと、そしてどんな状況でも努力して常に学ぶ姿勢にあることが、今回のインタビューで伝わってきた。まだまだ、溢れる野球愛が私たち野球ファンをこれからも楽しませてくれるに違いない。(新保友映 / Tomoe Shimbo)

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