ゼロから始めるリモートワーク!働く環境を快適にアップデートしよう 第9回 リモートワーク中に自宅のWi-Fi通信速度を改善するには?

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おそらく、自宅でリモートワークをしているほとんどの読者の方が、Wi-Fiを使ってインターネットを利用しているでしょう。そして、以前はWi-Fiの品質に問題を感じたことはなかったけれど、仕事で使うとなると話は違う。そう感じている人もいるのではないでしょうか。

大容量のデータ通信が必要になりがちなリモートワークでは、十分な通信速度が確保できないと、大幅に作業効率が落ちることになります。特にビデオ会議をしたり、業務システムにアクセスするために会社のサーバに接続したまま作業したりするような場合は、通信速度の安定化は必要不可欠な課題です。

もし、既に光回線などの高速なインターネットサービスを利用しているにもかかわらず、通信速度が安定しないなら、自宅のWi-Fi環境を見直すことで改善できるかもしれません。

まずは現状を把握しよう

通信速度の改善に着手する前に、まずは現在の状況を把握しておきましょう。調べるのは、Wi-Fiの電波の強度と、実際のインターネットの通信速度の2つです。Wi-Fiの電波の強度はスマホアプリを利用すると便利です。App StoreやGoogle Playで「Wi-Fi 電波強度」などのキーワードで検索するとさまざまなアプリが見つかります。複数の場所の結果を比較しやすいように視覚的に表示してくれるものが便利です。

インターネットの通信速度も専用のアプリがいろいろありますが、こちらはわざわざアプリをインストールしなくても、Webブラウザだけで計測できるサービスがあります。例えば、Google検索で「インターネット速度テスト」と検索すれば、次のようにGoogleが提供する計測サービスを利用できます。

計測は、家の中のいろいろな場所で行いましょう。Wi-Fiルータの近く、リビング、寝室、仕事をする場所、トイレ、お風呂などです。部屋のドアを開けている場合と閉めている場合を比較するもの良いでしょう。

すると、家の中のどこであれば十分な通信速度が確保できるかがわかります。Wi-Fiルータの横でも速度が出ない場合は、Wi-Fiルータの設定に問題があるか、回線に問題があるのかもしれません。Wi-Fiルータの近くでは問題ないのに寝室ではダメという場合は、回線ではなくWi-Fiの電波に問題があると考えていいでしょう。

通信速度が遅くなる理由

Wi-Fiの通信速度が遅くなる一番の理由は、Wi-Fiルータの電波が家全体に十分に行き渡っていないことです。そして、Wi-Fiルータの電波は、その設置する場所や設置の仕方によって大きく変わってきます。一般的に、次のような環境ではWi-Fiの電波が弱まりやすいことが知られています。

Wi-Fiルータと端末の距離が遠い

電波は遠くに行くほど弱くなるので、Wi-Fiルータから離れた場所でPCやスマーとフォンを使っても十分な速度が得られない可能性があります。

Wi-Fiルータと端末の間に障害物がある

Wi-Fiルータと端末の間に壁やドアがあると、電波が弱まって通信が遅くなります。特に、素材が金属を含んでいる場合には電波が弱くなりやすいです。壁の断熱材や床暖房は金属の素材を含むので、Wi-Fiの電波を通しにくいことが知られています。Wi-Fiルータが戸棚の中に仕舞ってある場合も、戸棚が電波を遮って通信速度が下がる要因になります。

近くに電子レンジなどの家電製品がある

Wi-Fiルータ以外に電波を出す機器が近くにあると、電波が干渉して通信が不安定になる可能性があります。注意しなければならないのは電子レンジやIHクッキングヒーターなどの強い電磁気を発生させる家電機器です。Wi-Fiは2.4Ghz帯と5Ghz帯の周波数の電波を利用しますが、電子レンジなども2.4Ghz帯の電波を発生させるため、干渉が起きやすいことが知られています。

Wi-Fiルータを床や水回りの近くなどに置いている

Wi-Fiルー床の上に直接置いている場合、電波が乱反射して場所による通信の品質にムラがでやすくなるため、床からは1メートル以上離して置くことが推奨されています。また、水は電波を遮りやすい性質があるので、台所や水槽の近くなどにWi-Fiルーを置くと、通信速度に影響する可能性があります。

1台のWi-Fiルータに同時に接続する危機が多すぎる

Wi-Fiルータには、機種によって同時に接続できる端末の最大数が決められており、それを超える端末が接続されていると十分な性能が発揮できない可能性があります。最近はPCやスマーとフォンだけでなく、ゲーム機やテレビ、スマートスピーカー、ホーム家電など、さまざまな機器がWi-Fiを使ってインターネットにつながります。家庭内で何台の機器がWi-Fiルータに接続しているかを把握し、それに合ったWi-Fiルータを使用することが大切です。

Wi-Fiの電波を改善する方法

Wi-Fiの通信速度が出ない原因がわかったら、対策を考えましょう。一般的には、次のような対策を取ることでWi-Fiの通信状況が大きく改善する可能性があります。

Wi-Fiルータの置き場所を変える

上で説明したように、Wi-Fiルータの置き場所は電波の強度や届く範囲に影響する最大の要因です。理想的には、次のような場所に設置するのが良いとされています。

  • 家の中心
  • 床から1メートル以上離す
  • 台所や風呂場などの水回りから離す
  • 電子レンジやBluetoohなどの電波が干渉しやすい家電から離す
  • 棚やケースの中に収納しない
  • どうしても収納したい場合は、ケースの素材に注意する(金属は×)

5GHz帯の電波を使う

先にも触れたように、Wi-Fiは2.4GHz帯と5GHz帯の周波数の電波を使用します。最近では、大抵のルータが両方の周波数帯をサポートしていると思います。2.4GHz帯と5GHz帯はそもそも異なる電波になっているので、多くの場合それぞれ個別のSSIDが割り当てられており、PCやスマホの端末側でどちらに接続できるかが選べるようになっています。

このうち、2.4GHz帯はBluetoothの電波や電子レンジなどが発する電磁波と周波数が近く、干渉を受けやすいことが知られています。一方5GHz帯はWi-Fi以外ではあまり使われない周波数帯であるため、ほかの機器の干渉を受けにくく、また規格としての通信速度も速いという特徴があります。したがって、基本的には5GHz帯を利用したほうが安定した通信速度を得ることができるでしょう。

ただし、5GHz帯の電波は到達できる距離が2.4GHz帯よりも短いため、Wi-Fiルータから離れるほど通信速度が遅くなりやすいという特徴もあります。また、コンクリートや金属などの障害物に弱いという欠点もあるので、壁や扉の素材には注意が必要です。

電波チャンネルを変更する

Wi-Fiの電波は、2.4GHz帯と5GHz帯の周波数を、さらに細かい帯域幅に区分して使用するようになっています。このそれぞれの区分を「チャンネル」(または「チャネル」)と呼びます。周囲にある複数のWi-Fiネットワークが同じチャンネルを利用していると、電波が干渉して通信に影響が出ることがあります。

最近のWi-Fiルータは周囲の電波状況を把握して移動で空いているチャンネルを利用する製品が多いため、通常はチャンネルについて意識することはあまりありません。しかし、集合住宅のように狭い範囲に多くのWi-Fiネットワークが密集している環境では特にチャンネルの重複が起きやすいため、使用するチャンネルを変更することで通信状況が改善する可能性があります。

Wi-Fiルータのソフトウェアを最新にする

Wi-Fiルータの設置場所や使用する周波数帯ではなく、Wi-Fiルータそのものに問題がありそうな場合は、買い替えを検討する前にWi-Fiルータのファームウェアやドライバーを最新バージョンにアップデートしてみましょう。もし使っているファームウェアやドライバーが古いもので不具合を含んでいる場合、最新のバージョンにアップデートすることで問題が解消する可能性があります。

高性能なWi-Fiルータを使用する

もしWi-Fiルータを良い場所に設置できず、自分の仕事をする場所までうまく電波が届かない場合は、思い切ってより高性能なWi-Fiルータに買い換えることも検討しましょう。一口にWi-Fiルータと言っても、電波の強度や最大の通信速度、サポートしている通信規格の種類などは製品によって異なります。より性能の良い製品を導入すれば、自宅のさまざまな条件に柔軟に対処することができます。

Wi-Fi中継機やメッシュWi-Fiを導入する

部屋の配置や壁の素材などによっては、単にWi-Fiルーターの電波を強くしただけでは満足な通信速度にならないことも考えられます。そのような場合は、電波の到達距離を延長できるWi-Fi中継機や、複数のWi-Fiルーターを使ってカバー範囲を広げるメッシュWi-Fiなどの導入を検討してみましょう。Wi-Fi中継機やメッシュWi-Fiについては、また別の回に詳しく紹介したいと思います。

Wi-Fiの速度は作業効率に直結する

インターネットを仕事で使う場合、単にメールやWebサイトが利用できればいいというわけにはいきません。業務システムにアクセスしたり、必要や資料をダウンロードしたり、他のスタッフとチャットやウェブ会議でコミュニケーションをとったりと、あらゆる作業の中心にインターネットがあります。通信速度が遅いことでそのひとつひとつの作業がちょっとずつ遅れたら、全体としては大きな作業効率の低下につながります。この機会に、自宅のWi-Fi環境について一度よく見直してみることをお勧めします。