日本ハムの救世主に期待! 新庄監督誕生か

新庄氏の監督就任はあるのか

ひょっとしたら、ひょっとするかもしれない。観客動員で苦しむ日本ハムの救世主として“あの男”に注目が集まっている。今季が就任10年目となる栗山英樹監督(59)の後任候補に球団OBでもある新庄剛志氏(48)を推す声が上がっているのだ。昨年12月の12球団合同トライアウトで「不合格」となり、プロ野球界とは一線を引いた格好だが、現実味はあるのか? チーム関係者から漏れ伝わる本音とは――。

日本ハムが本拠地を北海道に移転したのは2004年。閑古鳥が鳴くこともあった東京ドーム時代から一転し、道民に愛される球団として観客動員は順調に増え続け、二刀流の大谷翔平投手(26=現エンゼルス)を擁して日本一に輝いた16年と、同投手の最終年となった17年は2年連続で200万人の大台を突破した。

しかし、大谷が海を渡った18、19年は197万人前後を推移し、新型コロナウイルス禍にチームの成績不振が重なった昨年は上限5000人の期間に2000人を大きく割り込んだり、収容率50%以内の動員が可能になった9月19日以降も3000人台を連発するなど観客動員で苦戦続きだ。

要因はいくつか考えられる。16年の日本一から4季で3度の5位という低迷だけでなく、大谷をはじめ、ダルビッシュ有投手(34=現パドレス)や陽岱鋼外野手(34=現巨人)、増井浩俊投手(36=現オリックス)ら、高給取りとなった選手に他球団や海外から“お迎え”が来たり、糸井嘉男外野手(39=現阪神)のようにトレードで放出されるケースが目立つ。球団の方針とはいえ、ファンにしてみればやりきれない気持ちもあるだろう。ちなみに昨オフは有原航平投手(28)がポスティングシステムを利用し、レンジャーズに移籍した。

そこで新庄氏だ。一昨年11月、自身のインスタグラム上で突然の現役復帰宣言し、1年間のトレーニングを経て昨年12月の12球団合同トライアウトに参加。14年のブランクを感じさせないハツラツとした動きで左前に安打まで放った。残念ながら期日に定めた6日間でNPB球団からのオファーがなく、自身のインスタグラム上で「1%の可能性を信じてやってきたが、今日0%になりただただ悔しいし情けない、身の程を知りました!」と現役復帰断念を宣言したが、新型コロナ禍で暗く沈んだ日本に明るい話題を振りまいた。それも日本ハム時代に着ていた背番号1のユニホームで。

無謀とも思える新庄氏の挑戦に刺激を受けたのはファンばかりではなかった。日本ハムのチーム関係者の間でも大きな話題を呼んだ。何より現役時代は誰も思いつかないような各種パフォーマンスでファンに夢を与え続け、現役最終年の06年にはリーグVにも貢献した球団の功労者でもある。

新庄氏は昨年9月25日の「ダウンタウンなう」(フジテレビ系)に出演した際に「野球選手に野球を教えたいんですよ。プロ野球のレベルが低すぎて、今の外野手の。コーチでは入りたくないから。コーチって位が低そうだから。なんなら、監督になって選手に教えたい」とも話していた。

この発言にチーム関係者も反応。「さすがめちゃくちゃ面白いですよね(笑い)。これだけ新庄さんが言ってくれているんだから、それを使わない手はないと思うんですよ」「日本ハムが北海道で成功したのは、間違いなく新庄さんの功績。23年の新球場開業を控えながら、人気が全盛期ほどない今の球団にとって、今でもこれだけ注目度の高い新庄さんを監督に据えれば、注目度はあの時と同じくらい増えると思うんですよ」といった声が飛び交った。

北広島市に建設中の新球場「エスコンフィールド北海道」のオープンを2年後に控えた球団は、飲食テナントの募集を発表するなど着々と準備を進めている。観客動員の回復には、かつて甲子園球場を沸かせた清宮幸太郎内野手(21)や吉田輝星投手(20)といったスター候補生の覚醒も欠かせないが、チーム関係者からは「それだけでは心もとない。一種の劇薬として新庄さんに監督など何らかのポジションを用意したら、それだけで大きな話題になるはず」とのアイデアも出ている。

日本ハムは北海道移転に大谷の二刀流挑戦と、数々の“冒険”をして成功も収めてきた。あらゆる面でターニングポイントとなる新球場開業までに特大のサプライズはあるか――。

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