【東海S】オーヴェルニュが3連勝でGI戦線へ 川田「先のことを考えずに勝ちに行く競馬をしました」

充実一途のオーヴェルニュ(右)は攻撃的な競馬で3連勝&重賞初制覇

GⅡ東海S(中京ダート1800メートル)は、好位を進んだ2番人気のオーヴェルニュ(牡5・西村)が直線で脚をしっかり伸ばして快勝。3連勝で重賞初Vを決めた。5歳にして見事に素質開花した同馬のここに至るまでのサクセスストーリーと今後の展望を、レース後の関係者取材から解き明かす。

大方の予想通り逃げたのはインティだったが、内のダイシンインディーに競りかけられたことでテンの3ハロンが12秒7→10秒9→11秒8。5ハロン通過が59秒3というよどみのないペースに…。だが、これが結果的に勝ち馬オーヴェルニュにとって幸いしたことは、レース後の川田の証言からも明白だ。

「我慢するよりも進んで行くほうが楽なタイプの馬です。前で運ばないと苦しくなる馬場状態(不良)でもありましたし、先のことを考えずに勝ちに行く競馬をしました」

その言葉通り、好位追走から3コーナーでは前を行く2頭に並びかけ、直線を向いてからさらに〝攻撃〟。グングン加速して後続を突き放した。

西村調教師は「行く馬は分かっていたので、それを見ながら2~3番手で競馬をするというのは川田騎手とも話していた。作戦通りだね」と会心のレースを振り返ると同時に「スピードがあるだけにすごく行きたがるんだけど、川田騎手が好位で我慢する競馬を覚えさせてくれたことが生きてきたね」と、鞍上の〝教育〟が最大の勝因だったことを打ち明けた。

このレースまでに川田がオーヴェルニュに騎乗したのは19年9月から翌20年1月までの条件戦3走だけだが、それは濃密な時間だった。だからこそ、久々のタッグながら「それほど大きく変わってはいませんでしたが、もともと能力は高い馬です。コントロールは難しいですが、それだけに条件が上がってペースが速くなるほうがレースはしやすくなると思ってました」と、川田はこの馬を知り尽くした上で長所を最大限に生かした。

「本当に力をつけてきたね。きょうだいも晩成型。この馬もこの年になってようやく成熟して、充実期に入ってきた感じがする」と西村調教師。

この後、視野に入れるフェブラリーS(2月21日=東京ダート1600メートル)に向けて「ワンターンでどうなるかだね。ただ、スピードを生かした競馬ができるのがこの馬の最大の長所なので」。GⅠでも〝武器〟を活用したレースを敢行する構え。どうやら、遅咲きの素質馬が今年のダート戦線の台風の目になりそうだ。

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