16年には大型トレードの一員となるも、3日で“返却”された異色の経歴
2021年のプロ野球もキャンプインまで残り1週間ほど。すでに各球団の外国人選手の顔ぶれも出揃った。それぞれの球団の浮沈を左右する新助っ人たちは、どのような特徴を持っているのだろうか。米球界時代に残してきた成績、データを検証し、その特徴を探ってみたい。今回は、ソフトバンクの新外国人選手であるコリン・レイ投手を見ていこう。
レイは2011年のMLBドラフト12巡目(全体383位)でパドレスに指名され、2015年にメジャー初登板。6試合に先発すると、翌2016年は開幕ローテ入りし、前半戦だけで19先発、5勝5敗、防御率4.98の成績を残した。
すると7月29日、プレーオフ進出のために先発補強を目論んだマーリンズとパドレスの5対3の大型トレードの一員として移籍。翌30日のカージナルス戦に先発したが4回途中で右肘を痛めて降板、8月1日には前代未聞の“返却トレード”で、わずか3日でパドレスに戻りトミー・ジョン手術を受けることとなった。
その交換相手としてパドレスからマーリンズに戻ったのが現レッズでエース格に成長したルイス・カスティーヨ。仮に“返却トレード”がなければ現在のダルビッシュら豪華ローテに加わっていた可能性もあったということになるだろう。その後のレイは2020年にカブスで復活。オフには日本に新天地を求めることになる。では、このような異色の経歴を辿った右腕の持ち球から見ていこう。
持ち球はフォーシーム、カーブ、カッター、シンカー、スプリットの5球種
MLB公式データサイト「ベースボール・サヴァン」によると、2020年にメジャーで投じたのはフォーシーム(39.8%)、カーブ(19.1%)、カッター(17.8%)、シンカー(11.6%)、スプリット(11.6%)の5球種だ。2020年の速球の平均球速は93マイル(約150キロ)と決して豪速球で圧倒するタイプではないが、196センチの長身から投げ下ろされるため見た目以上の威力を打者は感じるだろう。また球速もトミー・ジョン手術前(2016年)の93マイル(約150キロ)と同じ水準に戻っており、右肘の状態は全く問題なさそうだ。
一方、変化球はいずれも平均的。メジャーでこれまでに奪った三振数は、シンカー38個、カッターで23個、カーブ17個、(フォーシーム33個)とすべての球種で三振を奪う能力はあるものの、“決め球”と呼べる突出したものはない。このことから、日本での活躍はバッテリーを組んだ捕手がどう配球するか、がカギとなるかもしれない。
投球スタイルはメジャー通算148回1/3で116奪三振と三振を奪うタイプではないが、K/BBで見ると2.04とコントロールは悪くはない。ゴロ/フライ比率(GO/AO)も1.15と平均的な数字で、これといった特徴のないのが特徴か。ムーアのようなエースポテンシャルではないが、リズムの良い投球テンポで、あれよあれよと打ち取っていくイメージの好投手だ。
ソフトバンクの先発ローテは順当なら千賀、石川、東浜が当確。パ・リーグ連覇、日本シリーズ5連覇には、昨季は中継ぎに回っていた高橋礼投手との2人の“レイ”の活躍が欠かせなくなりそうだ。(Full-Count編集部)