外来スズメバチ駆除支援機器 “羽音”判別で巣を発見 学生有志が開発中

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ツマアカスズメバチ(猪原講師提供)

 佐世保工業高等専門学校(佐世保高専)の学生有志4人が、在来種のミツバチを捕食し生態系に悪影響を与える特定外来生物「ツマアカスズメバチ」の駆除に向け、屋外に設置したマイクで羽音を拾い、巣を発見するシステム「HOR-net」(ホーネット)の開発を進めている。
 同スズメバチは中国などが原産のスズメバチの一種。国内では2012年、対馬市で初めて確認された。養蜂や生態系への影響が懸念されており、国は15年に特定外来生物に指定した。
 対馬市文化交流・自然共生課によると、対馬はセイヨウミツバチが生息しない国内唯一の島で、古くからニホンミツバチによる養蜂が盛ん。しかし同スズメバチの出現以降、ミツバチが捕食される被害が相次ぎ、養蜂に影響が出ている。このため、同スズメバチの巣を効率的に探し駆除することが課題となっている。
 佐世保高専で研究に取り組むのは、専攻科複合工学専攻1年の道上竣介さん(20)、電気電子工学科5年矢野竜之介さん(19)、同科4年出井和音さん(19)、同科1年田中陽樹さん(16)の4人。
 対馬での被害を知り、昨年5月に研究を開始。ハチの種類で羽音の周波数が異なる点に着目した。道上さんによると、在来のニホンミツバチの羽音は1秒間に約200~300ヘルツだが、同スズメバチは約120ヘルツと大きく異なることが分かった。
 開発中のシステム「ホーネット」(英語でスズメバチ)は、森林に複数設置したマイクでハチの羽音をキャッチ。マイクロコンピューターで1秒以内に同スズメバチの羽音かどうか判別する。集めた同スズメバチの分布などのデータから巣の位置を割り出し、スマートフォンなどに地図情報を送信する仕組み。データ送信には、少ない消費電力で長距離通信ができる無線技術を活用する。
 昨年8月、最新の通信技術を使って地域課題を解決する総務省主催のコンテストで研究費275万円が助成された。学生らはこれらを元手に、昨年10月に対馬市で実地調査をした。
 現在、学生らは羽音の周波数の解析度向上やマイクの配置場所の検討を進め、今年3月にシステム完成を目指す。4人を指導する同科の猪原武士講師によると、イノシシやシカの鳴き声や足音などから有害鳥獣駆除に応用できる可能性もあるという。
 道上さんは「自分たちの能力を高めながら頑張りたい」と意欲を見せる。対馬市文化交流・自然共生課の神宮周作主任は「巣の探索に大きく役立つため、期待している」と話す。

ツマアカスズメバチの駆除支援システムの開発に取り組む道上さん(右から2人目)ら=佐世保高専
ツマアカスズメバチの羽音を判別する機器