<金口木舌>新たな勢力図は

 29キログラムの賜杯の重さに驚いたという。実際の重量感に加えて、成し遂げた大願の重みを感じたのではないか。大相撲初場所を制した大栄翔のことだ。出場した三役7人全員を倒す圧巻の強さだった▼初優勝にも涙なし。高校の後輩の貴景勝が出世街道の先を行くが、信ずる突き、押しを地道に究めた。ひとり親を楽にしようと角界入りした孝行息子でもある。普段の優しさが土俵に上がると一変。闘志前面の攻撃相撲でニューヒーローとなった

▼関取もかくあれと言うべき強力な押し込みで14年ぶりの新人大会優勝を果たしたのは県高校ラグビーの読谷だ。FW強化の課題を克服しての頂点だった

▼押し込むだけの電車道一辺倒ではない。安定したボールが供給されるから、キックも織り交ぜてスペースを突くバックスの展開も生きる。縦横自在の攻めを見せた▼11月の花園予選決勝、終了間際に逆転されて初の全国を逃した。先輩たちの思いも胸に新チームで名護に雪辱し、次の花園代表候補の筆頭に名乗りを上げた。多くの選手が地元出身。ラグビーどころの地域の期待も高まる

▼花園常連の名護、コザも黙ってはいないはずだ。3月には琉球大出身の湯浅泰正監督率いる花園準優勝の京都成章を招き、各校との試合が予定される。屈指の強豪から刺激を受けた競り合いの結果、勢力図はどう描かれるか。今から楽しみだ。

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