V長崎・吉田新体制の展望<4> 昇格の条件 9月の大崩れ教訓に

J2の顔触れと昨季成績

 J1に昇格するためには、一般的に「連敗しないこと」「大崩れしないこと」が必要条件とされている。例年、2枠の自動昇格ボーダーラインは勝ち点80前後に落ち着くケースが多い。
 昨季リーグ優勝を果たした徳島(勝ち点84)は連敗ゼロ。さらに3試合に1度は必ず勝つという高い安定感を発揮した。
 2位福岡(同)は序盤に2連敗と3連敗が1回ずつあり「連敗しない」の条件に当てはまらなかったが、第17~27節の11連勝で序盤の出遅れを帳消しにした。さらに最後の10戦も負けなしで駆け抜ける勢いがあった。
 3位V・ファーレン長崎は、9月に2連敗を含めて8試合勝ちなしの「大崩れ」があった。しかも、2連敗した相手は徳島と福岡。首位攻防の「6ポイントゲーム」を立て続けに落としたことが響き、勝ち点80に到達しながらも目標を果たせなかった。
 今季はJ1から降格してくるチームがないため、昨季4位に勝ち点差15の大差をつけて「圧倒的な3位」だったV長崎は、そのままJ2優勝、J1昇格の筆頭候補に挙げられる。ただ、数字だけで測れないのが群雄割拠のJ2リーグ。湘南で実績を残してきた曺貴裁監督が就任した京都、昨季尻上がりに調子を上げた磐田、松本、山形あたりがライバルになってきそうだ。
 前例のない「4チームがJ3降格」という特別ルールにも留意する必要がある。下位チームは勝ち点3を死に物狂いで取りにいき、一方で中位は残留のために手堅く勝ち点1を積み上げたいという心理も働く。引っ張られるように昇格ラインが下がり、複数チームの接戦になる可能性も考えられる。
 V長崎の吉田孝行監督は「下位チームの戦い方が昨年と変わってくると思う。昨年は降格がなかったから、自分たちのスタイルをより強化したり、攻撃的に来るチームが多かったが、4チーム降格となれば守備的なチームが増えるはず。そこを自分たちはどう崩していくか」と最良の戦い方を模索している。


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