コロナでバイト解雇「仕方ない、耐える」 里親家庭の短大生、生活費も不安

 沖縄本島中部在住の19歳の女性は里親家庭で暮らす、県内短期大学の1年生だ。生活費の足しにしようとアルバイトを続けてきたが、新型コロナウイルスの影響で収入は以前と比べて半減した。「講義やバイト、コロナで生活のいろんな部分に影響が出た」。奨学金を受けているが、その使い道は入学金と授業料に定められており、生活費の工面に不安を抱えている。

 兄と弟の3人きょうだい。母方の祖母が「親族里親」として3人を引き取り、共に暮らしている。「おばあちゃんは年金で私たちを支えている。生活は厳しく、バイト代は生活費の足しに」。高校3年からホテルで清掃のアルバイトを始めたが、新型コロナの影響で出勤日は減少した。昨年7月、事実上解雇となった。

 現在、別のホテルでアルバイトをしている。学業との両立も考え、出勤は週末の1日だけにすると決めた。「本当は土日どちらも働けたらと思う。ホテルの業績も厳しい」。コロナ前、収入は月に4~5万円あったが、現在は半減の2~3万円ほどだ。

 インターネットを活用して課題を提出するなど、コロナ禍で、短大はオンライン中心の講義に変わった。気掛かりは通信料。祖母が生活費をやりくりし、通信環境を整えるために、自宅にWi―Fi(ワイファイ)を整備した。

 昨年末、県内の子どもたちへ食事支援を行うおきなわこども未来ランチサポート(実施主体・琉球新報社、おとなワンサード、日本郵便沖縄支社)は、米やレトルト食品などの食料品約2週間分を配布した。児童養護施設や里親家庭の若者の進学を支援する「NPO法人にじのはしファンド」と「にじのしずく」を通じ、この女性を含め施設や里親家庭を卒業した学生ら59人に届けられた。

 現在、沖縄子どもの未来県民会議の給付型奨学金事業で授業料給付を受ける。アルバイトでの稼ぎの一部は、奨学金で補えない教科書代などに充てるため貯金している。「奨学金や食料品支援があって、助かっている。今はバイト代も少ないけど仕方ない。耐える時だ」。自分に言い聞かせるように、拳を握りしめた。にじのはしファンドの伊藤かおり事務局長(40)は「コロナは児童養護施設を卒業した子どもたちの生活にも影響を与えている。心のケアや周囲とのつながりを絶やさないなど支援が必要だ」と訴えた。

 (吉田早希)

© 株式会社琉球新報社