1963年「馬場 vs 猪木」の一騎打ち 馬場の強烈前蹴り

猪木完至×馬場正平

【お宝写真館】ジャイアント馬場(右)の強烈な前蹴りで一瞬、体が宙に浮いてしまっているのはアントニオ猪木。今から51年前の1963(昭和38)年8月16日、日本プロレスの渋谷・リキパレス大会からのひとコマだ。

馬場と猪木の一騎打ちは、61年5月25日の富山市体育館大会から63年10月2日の栃木・足利市月見ヶ丘体育館大会まで計16回にわたって実現。馬場が16戦全勝しているのは有名な話だ。

力道山門下の若手、しかも同期入門同士の一騎打ち。とはいえこの時点で馬場が25歳、猪木が20歳になったばかり。さすがに体力差は歴然だ。しかも、すでに米国修行で全米トップクラスとの対戦を経験し、一時帰国して日プロのシリーズに参戦していた馬場と、まだ海外遠征未経験の猪木とでは差があったのは無理もない。

写真の一戦は12戦目の一騎打ちとなった45分3本勝負。ライバル意識をムキ出しにした猪木が1本目の序盤に首投げからドロップキック3連発を見舞えば、馬場はネックブリーカー、パンチ、ヘッドシザースで反撃。ロープに飛ぶと145キロの体重を浴びせたタックルを見舞い11分45秒、ニードロップ3連発からフォール勝ち。

続く2本目は猪木がキック攻撃から逆片エビ固めに入るも、馬場は長い足を利して脱出。なおも追ってくる猪木をヘッドロックで捕らえるとココナッツクラッシュで上体を揺さぶり、裏返しにしてネックブリーカー。4分8秒、体固めでストレート勝ちを収めた。

馬場は前夜(15日)の山梨・甲府大会ではトップの一角である吉村道明と45分3本勝負で一騎打ちを行い、吉村の額に貼られたばんそうこうを引きはがす米国仕込みのラフファイターぶりを発揮するも1―2で惜敗。試合後は勝った吉村が大の字になってしまうなど、若き怪物ぶりを発揮していた時期だった。

馬場と猪木はともに60年9月30日、東京・台東体育館でデビューしたが、両者の一騎打ちが都内で行われたのは第8戦のリキパレス大会(63年7月19日)と第11戦の足立区体育館と、この試合と3回のみ。写真の試合が都内開催のラストBI対決となった。

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