V長崎・吉田新体制の展望<5・完> 土台づくり けが人減らす工夫を

沖縄キャンプに入ったV長崎。シーズンインに向けて着々と準備を進めている=沖縄県西原町民陸上競技場(V・ファーレン長崎提供)

 年末まで連戦が続いた昨季のリーグ戦。V・ファーレン長崎は疲労を考慮して、今季の始動日を例年より約1週間遅らせ、19日に全体練習を始めた。23日からは沖縄で1次キャンプイン。選手たちが新たなシーズンを戦うための準備に入った。
 開幕前キャンプは、新陣容でいかに戦術を構築できるかがポイントだが、V長崎の場合はその前段階、1年間戦い抜くための「土台づくり」の在り方が問われる。
 V長崎は昨季、リーグ内でもけが人の多さが目立った。コロナ禍に伴う過密日程を踏まえて、選手の負担が分散するような起用を心掛けていたにもかかわらず、だ。
 ケアが甘かったのか、練習に問題があるのか。意見は分かれるが、筋肉系の故障は準備次第で減らすことができる。手倉森体制になって以降はフィジカルトレーニングが物足りないとの指摘もある。開幕後に痛い目を見ないためにも、元気なときに無理をする心掛けも必要だろう。
 今季のJ2日程を見ると、昨季のように2週間で5試合が組まれるような連戦はないが、東京五輪との兼ね合いで水曜のナイトゲームが3回あるなど、比較的タイトなスケジュールになった。コロナの感染状況によっては、再び中断期間が設けられる懸念もある。昨季の二の舞いにならないよう、あらゆるリスクに備えなければいけない。
 今季は強化方針の3本柱の一つに「メディカル体制の強化」を挙げており、日々のケアをするトレーナーは従来の3人体制から1人増員。クラブは「選手の状態を常に観察できるようにした」と体調管理に細心の注意を払っている。
 フィジカルトレーニング中心の沖縄キャンプは31日まで。2月3~13日の宮崎キャンプで本格的に戦術を落とし込む。トレーニングマッチはJ1~3のクラブと沖縄で1試合、宮崎で3試合を予定。感染防止策として練習非公開のため、サポーターが選手たちのプレーを見られる機会はもう少し先になりそうだが、2月27日の開幕節、ホーム金沢戦(14時キックオフ)で新チームが躍動する姿を今は期待して待ちたい。


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