被爆2世に「健康記録簿」 長崎市と県 新年度配布の方針

被爆二世健康記録簿について説明する崎山会長(中央)=長崎市役所

 長崎市と県は26日、被爆2世の健康管理のための「被爆二世健康記録簿」を新年度から発行、配布する方針であることを明らかにした。全国導入を目指している厚生労働省が昨年12月、各都道府県と広島、長崎両市にひな型を提示。これに基づき長崎市と県は内容を詰め、新年度当初予算案に経費を盛り込む計画だ。
 被爆者は被爆者援護法に基づき被爆者健康手帳が交付され、医療費などが支給されるが、その子である被爆2世に同法は適用されず、厚労省の対策は年1回の健診にとどまっていた。記録簿発行は新たな対策となるが、同法には基づかず、経費は厚労省が各自治体に委託している既存の被爆2世向け健診事業費で賄う。
 全国被爆二世団体連絡協議会(崎山昇会長)によると、記録簿の記載内容のひな型は▽本人情報(既往歴・現病歴)▽健康診断結果(一般・精密)▽予防接種記録▽親の被爆状況-など。健診受診者のうち希望者に配布する予定。健診は例年、県内で4千人前後、全国では2万人前後が受けている。協議会は記録簿発行によって関心が高まり、受診者は増えるとみている。
 協議会は1988年の発足以降、2世への被爆者援護法適用や、同法に基づく「被爆二世健康手帳(仮称)」の交付などを厚労省に求めてきた。26日に市役所で記者会見した崎山会長は記録簿発行について「長年の運動の成果」とする一方、今後も運動を継続し「法的な援護につなげたい」と語った。

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