社説:消防団員の待遇 実態踏まえ改善が必要

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 総務省消防庁は消防団員の減少に歯止めをかけるため、団員の報酬や出動手当の引き上げを視野に待遇改善の検討を始めた。

 各地の団員活動や手当支給の実態調査を進め、引き上げが団員確保の有効策となるかどうかを含めて有識者会議で議論する。今夏にも対策の方向性を打ち出す方針だ。

 消防団員は地域防災の要として大事な役割を担う。実態を踏まえ有効な改善策を導き出してもらいたい。

 1955年に200万人を数えた消防団員は90年に100万人を割り込み、現在は約82万人。2年連続で1万人以上減り、消防庁は「危機的状況」とみる。

 京都、滋賀も傾向は同様だ。

 背景には少子高齢化や社会構造の変化がある。

 以前は自営業者ら地域密着型の団員が多かったが、日中に地域にいない会社員が増え、消防団活動との両立が難しくなっている。

 消防関係者が指摘するのが、日頃の活動への「対価の低さ」である。

 消防団員の身分は、非常勤の地方公務員。各市町村が条例で定める報酬年額は、昨年の一般団員の平均で3万925円、月額に換算して2500円ほどだ。

 昼夜を問わず、危険を伴う消火活動などに従事した場合に支払われる出動手当も、1回当たり数千円にとどまる。

 消防団の役割や活動内容を思えば、「見合わない」との声が出ても無理はない。

 消火や災害時の避難は初動が重要だ。消防隊や近隣地域からの応援が到着するまでに地元事情に詳しい団員が果たす役割は大きい。

 特に近年は、気候変動に伴う集中豪雨や大型台風の被害が頻発し、地方に行くほど消防団の役割は大きくなっている。

 西日本豪雨について広島市の検証会議が実施した被災住民アンケートでは、自治体の避難指示・勧告より、家族や近所の人、消防団員の呼びかけが避難の決め手となったと答えた人の方が多かった。

 地域で共助の役割を担う消防団員の減少が続けば、住民の安全が揺らぎかねない。

 女性や学生を含めた幅広い層の入団につなげるためには、団員の使命感に頼るだけでなく、適切に待遇改善を進めることが必要だ。

 一方で、消防活動をしないのに報酬や手当を受ける「幽霊団員」の問題も浮上している。支給の基準や方法についても議論を深めてほしい。