《新型コロナ》「GoTo」停止1カ月 茨城県内の観光業者「ぎりぎり」 年末以降に需要激減

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大洗ホテルのロビーで開かれている「あんこうつるし切りショー」=大洗町磯浜町

政府の観光支援事業「Go To トラベル」が、新型コロナウイルスの感染拡大により停止されてから、28日で1カ月となる。昨年夏に同事業がスタートし、いったんは回復しつつあった観光需要は年末以降、急速に落ち込んだ。茨城県内の宿泊事業者からは「綱渡りの状況が続いている」などの声も上がり、経営体力の限界は徐々に近づきつつある。

■前年比1割
ヒレ、皮、エラ、肝…。1月半ば、大洗ホテル(大洗町)のロビーでは調理人が手際よくアンコウのつるし切りを披露した。旬を迎える11〜3月の間、毎日行われる恒例の催しで、開催は3500回を超える。普段なら舞台を囲んで立ち見まで出る宿泊客は、年明け以降まばらな状態が続く。

「こんな状況が続けば、平日の臨時休館が視野に入ってくる」。同ホテルを運営するIHS(同町)の竹内順一社長は、厳しい経営環境を説明する。昨年夏から年末にかけて回復傾向にあった宿泊予約状況は、年明け以降急速に悪化。1月は「前年対比で1割」ほどにまで落ち込んだ。

客室数は93室。施設の規模に伴い、運営コストはかさむ。1カ月当たりの客室稼働率が60%を下回れば「赤字」だ。従業員の雇用を維持するためにも、売り上げと運営経費をにらんだ難しい経営判断を迫られている。

■平日休館
新型コロナの感染拡大に歯止めがかからない状況を踏まえ、GoToトラベルは昨年12月28日以降、事業の適用が停止された。緊急事態宣言発令により、停止期間は2月7日まで延長が決まっている。宿泊客のほとんどが利用する同事業の停止とあって、旅行需要の落ち込みは一気に加速している。

昨年7〜8月に県が独自に宿泊料金を補助した「いばらき応援割」も、昨年夏の観光需要回復の呼び水となった。しかし、第2弾として同12月に予定していた「めざせ日本一割」の実施は感染拡大を受け延期され、再開の見通しは今も立っていない。

こうした状況を受け、五浦観光ホテル(北茨城市)は1月半ば以降、営業を原則として週末や祝日に限定し、平日は休館とした。同ホテルの村田章社長は「コロナ前と同じ環境が戻るとは限らない。マーケティングの見直しや経営改善を進める時期に来ている」と、先を見据える。

■資金繰り「不安」
「観光やビジネスなど宿泊施設ごとに客層の違いはあるが、特に観光客向けの旅館やホテルは厳しい」

県内の宿泊施設約380事業者が加盟する県ホテル旅館生活衛生同業組合の担当者は指摘する。県内全体で「前年に比べ売り上げの7〜8割ほどが落ち込んでいる」と見ている。

宿泊施設にとって収益性の高い宴会や団体客の利用が、年末年始以降「ほぼゼロ」(同組合)となっていることも大きな打撃だ。資金繰りのための借り入れも「この先の返済に対し、不安を抱く事業者も多い。体力はどこもぎりぎりの状況」にある。

観光需要の落ち込みは、土産品販売にも響いている。水戸市の納豆メーカー、だるま食品は同市特産の「わらづと納豆」の減産を続けている。書き入れ時に当たる2月からの観梅シーズンを控え、高野正巳会長は「一刻も早く感染が収束し、GoTo事業が再開してもらわないと、産業が衰退してしまう」と危機感を募らせた。