新START 5年延長合意 長崎の被爆者「核廃絶 加速を」

 米国とロシアが新戦略兵器削減条約(新START)の延長で合意したことを受け長崎の被爆者らは27日、両国に核兵器廃絶に向けたさらなる努力を求めた。
 長崎原爆遺族会顧問の下平作江さん(86)は延長合意の知らせを「よかった」と喜んだ。「(原爆投下で)九死に一生を得た被爆者の中には、今も病気で苦しむ人がいる。核兵器を地上からなくすことが人間的な道であり、二度と使わない、作らないようにしてほしい」と願った。
 県平和運動センター被爆連の川野浩一議長(81)は核兵器禁止条約の発効を踏まえ「世界は核廃絶を期待している。延長するだけでいい時代ではない」と強調する。核軍拡を進める中国にも言及。「米ロ間で以前よりも核兵器をなくすスピードを速め、中国にもセーブをかけないといけない」とした。
 長崎大核兵器廃絶研究センターの鈴木達治郎副センター長(69)は、米ロを中心に進む核戦力の近代化に触れ、「5年間じっくり話し合う余裕ができた。核弾頭の数を減らすだけではなく(近代化を止めるなど)質的な核軍縮も考えないといけない」と話した。

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