さらに実のある1年に 大学駅伝2冠の駒大メンバー 花尾恭輔

「目標としてもらえるようなランナー」を目指して自らを磨く花尾(駒大)=諫早市、県立総合運動公園

 1年生で駒大のたすきをつなぎ、昨年11月の全日本大学駅伝、正月の箱根駅伝の2大会で優勝の瞬間を味わった。「しっかり練習が積めて結果につながった。成長できた実感がある」。花尾恭輔(19)にとって、大学ルーキーイヤーは「実のある1年」だった。
 桜が原中、鎮西学院高時代、全国である程度の実績は残してきた。卒業後、高校1年時から声を掛けてもらった大八木弘明監督の下で、より高みを目指そうと駒大へ進学。そこには、全国から集まったレベルの高いメンバーとの部内競争が待っていた。
 必要な距離は高校駅伝の最長10キロに対して、箱根駅伝は最短でも20キロ。必然的に練習の量、強度は上がり、それに伴って体つきが変わった。大学は自分の工夫次第で、良くも悪くもなれる環境。「自分に甘えていたら、競争に勝てない」。食事や体のケアにも気を配るようになった。
 夏に足の甲を故障するなど「もたもたした」時期もあったが、地道な努力は確実に自分へ返ってきた。長い距離への対応力がつき、全日本は2区(11.1キロ)、箱根は7区(21.3キロ)を任された。区間成績は全日本が11位、箱根は4位。「まだ力不足。どの駅伝もチームに助けてもらっての優勝。次は自分が助ける走りをしたい」と納得はしていないものの、1年生にしてチームに貢献する走りはできた。
 鎮西学院高時代の恩師、入江初舟監督も「アスリートとして一回り大きくなった」と評するように、長崎を離れて体や走りはたくましくなったが、謙虚な姿勢はずっと変わらない。それは陸上を始めた桜が原中で定方次男元コーチから教わった「自分の原点」だ。
 一方で自らを「自分をしっかり持てていない。流されやすいし、人に合わせやすい。競技のあだとなっているところもある」と分析する。だからこそ、2021年の目標は「しっかり自分の意志を持ち、自分の道を進んでいく」とした。次のシーズンはさらに実のある1年に。目指す高みはもっと先にある。


© 株式会社長崎新聞社