コロナワクチン接種に薬剤師会から協力要請。貢献の時に、まさかの“非協力的意見”?【イケアキの医療制度深読み_その2】

【2021.01.28配信】新型コロナウイルス感染症の対応で、薬剤師の存在感が薄いとも指摘されている中、1月15日に公表された「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に係る手引き(第1.1版)」 では、医療機関以外で接種を行う場合の接種従事者として薬剤師も記載されている。そして、日本薬剤師会は都道府県薬剤師会に対して、市町村や郡市区医師会等からの要請に応じて体制を整えるよう要請を出した。薬剤師が貢献すべき時といえる。・・・しかし、SNS上で非協力的な意見が出ていることに愕然としている。

保険薬局に勤務しています池下暁人と申します。SNSなどではイケアキの通称で発信させていただいています。気になる医療制度の動向と私見を寄稿していきます。

前回、初めて寄稿させていただいて、また機会あればふんわり適度な感じで寄稿したいな~なんて思っていたのですが、珍しくちょっとカチンときたことがあったので、急遽寄稿することにしました。

緊急事態宣言前に散髪に行きそびれ伸びたクセ毛がまとまらないとか、弱いブックスタンドのせいで朝から資料が部屋中に散乱したとか、そういう話ではありません。

家に帰って風呂上り「髪の毛伸びて乾かないな~」なんて思いながらネットを斜め読みしていたら、とある地方の保健所からその地方の薬剤師会へ『コロナワクチンの接種会場に薬剤師を配置するので協力して欲しい』との協力要請があり、地方薬剤師会から会員に『ワクチン希釈研修に参加して欲しい』と案内があったという投稿を見つけました。ほうほうと。いよいよ来ましたかと。タオルを持つ手を止めて読み込んでみました。
そこには、“4,000人くらい薬剤師が必要なんやけど、希釈研修参加者はまだ50名くらいしかおらんから協力してくれへんか(数字と言葉は若干変更してます)”という切なるお願いが書かれていました。研修参加者の少なさは若干気になりますが、その上での協力依頼なのでこれはまあ仕方ないですよね。

それより愕然としたのは、投稿者が「こんな状況で誰が協力するか。協力して欲しいなら金を出せ」みたいなセリフを添えて投稿していたことです。その方がどういう状況下でそれを投稿したのか知る由もありませんが、薬局(薬剤師)はコロナ対策にどう貢献したのか(してないだろ)とか言われている今の状況を、その方は知っていて投稿したのでしょうか。

1万歩譲って仮にそういう風に思ったとしても、それをネットで不特定多数に発信するとか、あり得ないと思っちゃったわけです。そういう方っていうのはほんの一握りだと思いますが、一人の発言が大きく波及するSNS時代の、何とも言えない歯がゆさを感じてしまいました。

それに関連してではないですが、薬剤師の職能を拡大したい、みたいな話はよく聞きます。聞きますが、子供の駄々みたいに「くれくれ」って言っていても誰も何もくれません。色んな汗をかいて初めて、「やります」と発言できる立場になれる(土俵に上がれる)のだと思っています。海外ガーとか言ってみても誰も耳を貸してくれません。しょっぱい世界ですね。

ちなみにですが、
「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き(1.1版)」では、以下のように記されています。

・予診・接種に関わる者として、予診を担当する医師1名、接種を担当する医師又は看護師1名、薬液充填及び接種補助を担当する看護師又は薬剤師1名を1チームとすること

上記のように、薬剤師もチームの一員として入ってます。

また、1月25日に日本薬剤師会は【至急・重要】として都道府県薬剤師会へ「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種実施体制への協力について(お願い)」を発出してます。
参考:もとす薬剤師会ホームページ
https://www.motosu-yaku.jp/wp-content/uploads/kai030128.pdf

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イケアキ(池下 暁人 いけした あきと)
2003年に薬剤師免許取得後、個店薬局、DgS、国立病院機構を経て、2017年から診療報酬改定などに関わる。
もっと薬剤師が医療制度に興味持たないとな~とか思いながら日々活動中。
Twitterアカウント@AkitoIkeshita
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