ウイルス等の減少に新提案 イオンレス™次亜塩素酸水「シーエルファイン™」

2021年1月29日
ニプロ株式会社

ニプロ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:佐野 嘉彦、以下「当社」)は、ウイルス等の減少を目的として、当社が開発したイオンレス™次亜塩素酸水「シーエルファイン™」(以下、「シーエルファイン」)の活用策を提案いたします。

シーエルファインは、2020年9月に医療機関向けに販売を開始し、現在、1,000軒以上の医療機関で導入されております。本製品は、塩化ナトリウム水溶液を電気分解して生成する次亜塩素酸を主成分とする微酸性電解水であります。従来の次亜塩素酸水とは異なるイオンレス™次亜塩素酸水であり、イオン量および不純物量が少ない※という特長を有しております。塩素系漂白剤の主成分の一つである「次亜塩素酸ナトリウム水溶液」に塩酸などを加え、希釈・混合して生成する酸性化次亜塩素酸水溶液(酸性化次亜水)とも全く異なるものです。
シーエルファインは、食品添加物(殺菌料)に指定されている微酸性次亜塩素酸水およびJIS B8701:2017(次亜塩素酸水生成装置)の次亜塩素酸水の規格に合致する性状を保持しており、ラットを用いた「28日間反復吸入毒性試験」でも、異常がないことが確認できました。

この度、第三者機関で実施したシーエルファインの空間噴霧試験において、ウイルスの一種である大腸菌ファージMS2や菌の一種である黄色ブドウ球菌に対する減少結果がでました。加えて、シーエルファインの液中試験においては、SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)の減少結果も確認されました(以下「シーエルファインについて」にて詳述)。

イオン量および不純物量の低減による3つのメリット
①長期保存の実現
―有効塩素濃度の低下が少なくなり、長期保存が可能となりました。
②金属腐食の低減
―SUS304規格等の金属に対する腐食試験(「JIS C 60068-2-52 塩水噴霧試験」を転用し加速評
価)において、水道水および5%NaCl水より腐食作用が低減されることが分かりました。
③上記①、②より長期保存品でも分解が少ないため、空間噴霧時に、次亜塩素酸水の空間濃度(空
間塩素濃度)を安定化させることが可能となりました。

シーエルファインについて
以下のとおり、空間噴霧試験の結果、室内浮遊ウイルスおよび室内付着ウイルスの減少が確認されました。
①空間塩素濃度0.03ppmにより、1時間で99%以上の大腸菌ファージMS2が減少(図1)
②空間塩素濃度0.09ppmにより、4時間で机上、机裏等の大腸菌ファージMS2が90%以上減少(図2)

(図1)

(図2)

シーエルファインの液中の試験において、SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)およびインフルエンザウイルスA型/H1N1の減少が確認されました。(表1)

(表1)In vitroウイルス減少試験
3Log以上の減少効果(= 減少率:99.9%以上)が認められたHOCl濃度

次亜塩素酸水は、動物を用いた飲水(経口)による急性毒性、亜急性毒性、眼粘膜刺激性、皮膚刺激性などの試験が行われ、いずれも異常のないことから、「人の健康を害する怖れがない」という理由で食品添加物(殺菌料)に認可指定されました。しかし、噴霧時の安全性検証は行われておりませんでした。そこで、第三者機関にてラットを用いた「28日間反復吸入毒性試験」を実施し、毒性学的に異常のない結果を確認いたしました。
また、空間塩素濃度の安全性の基準については、次の①、②のように定められております。
①労働安全衛生法 作業環境評価基準:
空中塩素濃度が0.5ppm以下(但し、8時間/日、5日/週以下)
②学校環境衛生基準:
室内プール空中の塩素ガス 0.5ppm以下が望ましい。
上記「シーエルファインについて」の通り、シーエルファインの有効となる空間濃度はこれら基準を大きく下回り、基準内です。
なお、食品添加物(殺菌料)に指定の微酸性次亜塩素酸水およびJISB8701:2017の次亜塩素酸水の規格における安全性の記述については、本稿4枚目の<参考資料・各種基準値・参考文献>をご参照ください。

【イオンレス™次亜塩素酸水「シーエルファイン™」】の販売状況について
販売開始:2020年9月
販売エリア:全国
販売対象:医療機関、介護施設、薬局等
参考価格(税別):25,000円(10リットル)

今後の取り組み
次亜塩素酸水の噴霧が安全ではないという根拠は、WHOの発表によるもので、次亜塩素酸ナトリウムに関することと思われます。次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸水が混同されている一例です。
当社といたしましては、水道水のイオンやトリハロメタンの基準をクリアしているイオンレス™次亜塩素酸水の活用方法、特に空間有効塩素濃度を低下させない噴霧器の選定と使用方法もご提案してまいりたいと考えております。又、次亜塩素酸水を利用して、水道法の基準内で、口腔衛生に貢献できる方法も提案してまいりたいと思います。

<参考資料・各種基準値・参考文献>
● 労働安全衛生法 作業環境評価基準
空中塩素濃度が0.5ppm以下(但し、8時間/日、5日/週以下)
● 学校環境衛生基準(平成21年4月1日施行)
室内プール空中の塩素ガス 0.5ppm以下が望ましい。
● JIS B8701:2017(次亜塩素酸水生成装置)
※解説表1-次亜塩素酸水の名称及び基本性能の表にて、
①「次亜塩素酸水」は有効塩素濃度:10~100mg/kg、pH:2.2~8.6、製造方法:電気分解法
② 微酸性、弱酸性、強酸性次亜塩素酸水:食品添加物として認可。
「次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸水との違い」の項目の中で、
① 次亜塩素酸ナトリウムはアルカリ性であるために、皮膚又は粘膜に損傷を与えるので手洗いなどの使用は好ましくない。
② 次亜塩素酸水は皮膚又は粘膜にほとんど損傷を与えないため、手洗い等に使用することが可能である(生成装置も次亜塩素酸水も安全性が高いため食品添加物製造業の許可も必要としない)
と記載されております。
● 第9版食品添加物公定書解説書の「次亜塩素酸水」
※微酸性次亜塩素酸水の飲水試験で急性毒性、亜急性毒性は認められなかったと記載されております。
● 日本機能水学会「機能水研究第15巻1号,pp.1-4(2020)」
『新しいタイプの次亜塩素酸水に関する研究:空間噴霧による殺菌・ファージ不活化効果と安全性、およびSARS-CoV-2不活化効果』

ニプロは今後とも、患者さまの QOL(Quality of Life)向上はもちろんのこと、より安全で、社会のニーズに応えられる製品の開発、提供に努めてまいります。