日本のソウル「天城越え」すべての歌手は石川さゆりに嫉妬する 1986年 7月21日 石川さゆりのシングル「天城越え」がリリースされた日

石川さゆりの技量を計算したうえで作られた「天城越え」

石川さゆりの「天城越え」を初めてしっかり最後まで聴いたのは1986年の第37回紅白歌合戦。この年の7月21日にリリースされた「天城越え」、紅白での初披露であり、石川さゆり初のトリでのお披露目である。

曲が始まった瞬間、僕は、石川さゆりの歌声と美しさに魅了され、圧倒され、そして、その魂が揺さぶられるほどの感動に、曲が終わった時には自然と涙していた。この曲は演歌というジャンルに収まるレベルではない。

そう、この曲は日本のソウルミュージックであり、石川さゆりはソウルシンガーだ。

「天城越え」の作詞は吉岡治、作曲は弦哲也。石川さゆりにしか歌えない、難易度の高い作品を、と初めから石川さゆりの技量を計算したうえで作られた楽曲とのこと。

多分だけど、天城越えを聴いたすべての歌手は、女の情念を見事に歌い上げる石川さゆりに嫉妬したのではないだろうか。それくらいこの曲を歌う石川さゆりは素晴らしい。

ジャンルを超えた曲をたくさん歌う石川さゆりの魅力

僕は、演歌を好んで聴くわけではないけど、石川さゆりだけは特別でよく聴く。実は、堀越高等学校の制服姿の彼女の写真を雑誌で見た時から、その可愛さに一目惚れしてしまったりして。だから「津軽海峡冬景色」や「能登半島」だって大好きな曲だったりする。

石川さゆりはとにかく歌が上手い。そもそも僕は彼女を演歌歌手だとは思っていない。今は亡き、天才歌手美空ひばりの後継者は石川さゆりだと思っている。美空ひばりのことを誰も演歌歌手とは言わないでしょ。

事実、石川さゆりは、演歌というジャンルを超えた曲をたくさん歌っている。例えば、1991年2月発売の「ウイスキーが、お好きでしょ」なんて、僕に言わせるとブルースだ。

ルパン三世30年ぶりのTVシリーズで聴かせた見事なスウィング

『X-Cross-』というシリーズのアルバムをご存じですか? 石川さゆりと交友関係のあるポップス・ロック系のアーティスト達から提供された楽曲を収録しているアルバムで、『X -Cross II-』の椎名林檎とコラボなんてゾクッとします。

TVなどの企画でいろいろなアーティストの曲、例えば松山千春の「大空と大地の中で」とか「恋」を歌う彼女のなんと素晴らしいことか。

どっぷりとした演歌を歌う石川さゆりはもちろん素晴らしいけど、以外の曲を歌う石川さゆりを僕はもっと聴きたいし、もっともっと観たいんだ。きっと、彼女の実力をわかっている人たちは皆同じ気持ちなんじゃないかな。

さて、そんな石川さゆりさん、また僕の度肝を抜いてくれました。

そうです、ご存知の方も多いと思いますが、『ルパン三世』30年ぶりのTVシリーズのエンディングテーマ曲「ちゃんと言わないきゃ愛さない」で、今度は見事なスウィングを披露してくれてます。これが実にカッコイイ、必聴です。

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※2016年8月4日に掲載された記事をアップデート

カタリベ: 藤澤一雅

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