高齢患者「選別」の瀬戸際 ぎりぎりの医療現場、沖縄県医師会が窮状訴える

 沖縄県医師会は29日、県庁記者クラブで会見を開き、高齢者を守るため、新型コロナウイルス感染対策の徹底を強く求めた。沖縄本島と宮古島の高齢者施設などで多数のクラスター(感染者集団)が発生している一方、医療体制が厳しく、宮里達也副会長は「本来なら病院で世話したくてもままならず、(患者の)選別をしなければならない状況に追い込まれつつある」と、医療の窮状を訴えた。安里哲好会長は、県民に対しマスク着用、同居家族以外との会食や高齢者との接触を控えるよう強く呼び掛けた。

 県医師会がまとめた地域別のコロナ病床利用率は、1月28日時点で那覇が96.4%、宮古93.1%、中部83.9%、北部81.6%、南部74.8%、八重山40.9%。

 新型コロナ患者は、他の患者に比べ2~3倍の医療人員が必要なため、安里会長は「(利用率が)80%はぎりぎり、90%は本当に厳しい状況だ。(現場からは)これ以上受け入れられないと聞いている」と現状を説明した。

 県医師会の独自集計では、現在、沖縄本島で1病院と4高齢者施設、宮古島で1病院と2高齢者施設の計8カ所でクラスターが発生している。安里会長らは、特に若い世代が感染対策をする重要性を強調した。

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