大崎センバツ出場校決定 「島の誇り」地域住民ら祝福

選抜初出場を祝福する大崎の生徒会役員ら=西海市、大島若人の森野球場

 島の小さな高校に待ち望んでいた夢の切符が届いた。昨秋の九州王者として順当に選出され、春夏通じて初の甲子園出場を決めた大崎。九州4枠の春の便りは確実だったとはいえ、いざ「出場決定」の時を迎えた選手や関係者の間には、安堵(あんど)、笑顔、涙の輪が広がった。
 3年前の清水央彦監督就任以降、大崎は急成長してきた。現3年生も2019年秋の長崎県大会を58年ぶりに制して九州大会に出場。21世紀枠を含めて選抜出場への期待が高まったが、残念ながら候補に選ばれなかった。その後も県内無敗を続けて夏の代替大会も優勝したが、コロナ禍の中、甲子園は遠い場所だった。そんな昨季の悔しさを忘れず、今回は文句なしで出場権をつかみ取った。
 吉報が届いた後、清水監督は懸命に涙をこらえた。チームの礎を一緒に築いてきた現3年生との思い出、感謝…。「チーム全体、関わってくれたみなさんと勝ち取った成果」と言葉をかみしめた。3年生の坂口航大前主将は、ちょうどこの日が清水監督や後輩たちと寝食をともにした合宿所の退所日。「最高のプレゼントで自分のことのようにうれしい」と笑った。
 追い求めてきた夢は、現実になった。そして、その夢には続きがある。目指すゴールはここではない。選手たちは「甲子園で勝って、もっとたくさんの感動を地域に届けよう」という思いを共有している。
 チームは今、冬季練習を続けながら、エース坂本安司を中心にした堅守、勝負強い打撃に磨きを掛けている。秋山章一郎主将は「支えてくれた3年生や地域の方を甲子園に連れて行けることが一番うれしい。出るからには優勝。一つ一つに集中していく」と力強く前を見据えた。


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