【陸上】大阪国際女子マラソン初優勝・一山麻緒はハートの強さが武器

優勝した一山麻緒(代表撮影)

大阪国際女子マラソン(31日)が新型コロナウイルス禍の影響で史上初めて長居公園の周回コース(1周約2・8キロ)で行われ、東京五輪代表の一山麻緒(23=ワコール)が大会新記録となる2時間21分11秒で初優勝。同代表の前田穂南(24=天満屋)も2時間23分30秒で2位に入った。レース後、アテネ五輪金メダルの野口みずき氏(42)が本紙の電話取材に激白。元五輪女王は現五輪代表の走りをどう見たのか?

「私の力不足で(日本新記録を)達成できなくて、楽しみにしていた方に申し訳ない」。セカンドベストの好タイムでゴールした一山に笑顔はなかった。

今大会は異例の周回コース形式で高低差は約4メートルほど。さらに、ペースメーカーも国際経験豊富な川内優輝(33=あいおいニッセイ同和損保)ら男子選手が、野口氏が持つ日本記録(2時間19分12秒)とほぼ同じペースでレースを引っ張った。しかし、25キロ付近で「少し呼吸がキツくなり始めた」とペースダウン。一山が目標に掲げた日本記録更新とはならなかったが、野口氏は「ハイペースで走っていたので、体感として足が重くなってきているんだろうなっていう感じがあった。ちょっとだけ(ペースが)落ちてしまったが、最低限の落ち込みで安定してキープできたところは、やっぱり力を持っているなと感じた」と評価した。

その上で、一山のレース後のコメントから長所が垣間見えたと指摘する。野口氏いわく、マラソンにおいて「ハートの強さ」は重要なポイントの一つ。「一山選手は日本記録を目標としていたので『やっぱり悔しい』という言葉が走り終わってすぐ出た。もともとの目標を達成できなかったという悔しさが次につながってくると思う。特別悪い記録でもないのに、ちゃんと冷静に自分を見つめ直して反省している。次につながる向上心を持つってことは本当に大事だと思うので、ますます楽しみ。また五輪に向けていい走りができそうだなと思う」と期待を寄せた。

とはいえ、克服しなければならない課題もある。年末年始には体調不良で5日間の休養を余儀なくされ、万全な状態でレースに挑めなかったことから「もったいないなと思うところもある。合宿中にトレーニングが中止になったところが痛かったと思う。今度は体調を万全に整えて、疲労をためない体をつくるのも大事なのかなと」とアドバイスを送った。

東京五輪の開催を危惧する声も聞かれる中、一山は「やってくれると信じて、私は最高の走りができるように最高の準備をしていきたい」ときっぱり。残された期間は約6か月。メダル獲得へ、ここで立ち止まるつもりはない。

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