松永浩美氏が明かす「失踪事件」の仕掛け人は…「東スポですよ!」

松永氏の“失踪騒動”を報じた2003年5月28日付の本紙1面

【球界平成裏面史特別編 松永氏を直撃(4)】“史上最高のスイッチヒッター”と称された松永浩美はグラウンド外でも注目を集め続けた。平成9年(1997年)限りでダイエーを自由契約となり、メジャー挑戦するも断念して現役引退。その後に「失踪事件」が起きた。松永と一切連絡が取れないという話が友人の間で広まり、マスコミが騒ぎだす。ところが火付け役は本紙だったことが判明…。本人もビックリのコトの真相は?

――現役引退後に“失踪騒動”があった

松永氏 福岡で店をやっていたころかな。私は忘れものが多くて、ある日、ケータイをなくしちゃったんです。どこかに落としたと言って交番に届けたんですが、もともとケータイって邪魔だなって思っていたし、ないならないでいいや、くらいに思っていた(笑い)。もう1台あったしね。そうしたら東京の人から電話があって「松ちゃん、失踪したってニュースになっているよ」って。失踪って、こうして電話で話してるじゃん(笑い)。

――連絡が取れなくなったというだけで…

松永氏 しばらく失踪したことになっていて、私が新幹線に乗っていたら前の席の人が新聞を読んでいた。席を倒してきたのでのぞいたら「松永、行方不明!」って出ている。俺、後ろにいるじゃんって(笑い)。週刊誌からもいっぱい電話かかってきて、知らない番号だから出ないわけですよ。出ないもんだから「今も失踪してる」みたいになっちゃう。それでマスコミの前に出て「ケータイなくして1週間くらい連絡が取れなくなっただけの話ですよ」って説明したんです。最終的には家にあったんだけどね(笑い)。どこに置いたか忘れちゃっただけ。

――まさか何者かにハメられたのでは…

松永氏 誰が仕掛けたか知っているよ。その失踪事件の仕掛け人は東スポですよ! 東スポが最初に書いた。

――ウッ! それは失礼しました

松永氏 でも東スポは嫌いじゃないし、私も楽しんでいたところはありますよ。ウチの姉なんか「あんた、こんなの載っているわよ」って九スポ(東スポ)を8部くらい買って「サインしてくれ」って持ってきたもん(笑い)。友達に配っていましたよ。

――引退してもニュースになる男

松永氏 今もそのクセは直らないですよ。いつまた失踪するか分からないよ(笑い)。ケータイや財布を忘れるから、ウチの妻(かおり夫人)も結構怒っていて「首から全部ぶら下げなさい」って。ケータイなんて邪魔くさいし、ない方が落ち着く。解約しようとしたら「そうしたら私はどうやって連絡取ればいいのよ!」と言うんでしぶしぶ持ってますよ。

☆まつなが・ひろみ 1960年9月27日生まれ。福岡県北九州市出身。78年に小倉工からドラフト外扱いで阪急に入団。練習生として用具係を務め、79年に支配下登録された。81年に一軍デビューし、スイッチヒッターとして活躍。92年オフに野田との交換トレードで阪神へ。93年オフにはダイエー(現ソフトバンク)にFA移籍。97年に退団し、メジャーを目指すもかなわず引退した。盗塁王(85年)のほか、2度のサイクル安打、3試合連続先頭打者本塁打、5度のベストナイン、4度のゴールデン・グラブ賞に輝く。現在は鹿児島県を拠点に少年野球を指導。ユーチューブ「松永浩美チャンネル」「パパ永チャンネル」を開設している。

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