特集は長野市にオープンしたこうじの専門店です。営むのは江戸時代から続く蔵の6代目夫婦。若い世代を意識した塩こうじや甘酒をつくり、こうじの魅力を伝える場にしようと奮闘中です。
24koujiya・西沢真澄さん:
「これが“こうじ”です。工場から出たものを持ってきた状態です」
ふわふわの菌糸に覆われた出来立ての「米こうじ」。
ここは、去年夏、オープンしたこうじの専門店「24koujiya(にしこうじや)」。
さまざまな調味料が並び、カフェ感覚で甘酒を味わえるスペースもあります。
24koujiya・西沢真澄さん:
「買っても何に使っていいかわからない、でもやってみたいという方がいっぱいいたので、情報交換の場ができたり、物が買えたりと、そういう場所をつくりたくてお店にしました」
営むのは180年続く「西麹屋本舗」の6代目・西沢さん夫婦です。
昔は各家庭でみそが造られ、西麹屋は、その材料となるこうじを売っていました。今、そうした家庭は少なく、以前の義弘さんは…。
24koujiya・西沢義弘さん:
「将来はない、と思ってましたからね。続けなくてもいいと思っていたんです。自分の代でやめてもいいくらいのつもりでいた」
その考えを変えさせたのが妻の真澄さんです。結婚を機に家業を手伝うようになって、その魅力に気づき勉強を始めました。
24koujiya・西沢真澄さん:
「嫁いできたら、白い米の『何か』作ってるなって。『これがこうじだ』と言われて。簡単で、おいしくなる、健康的。子どもが食べても安心だしお年寄りが食べてもいい。これ、伝えなきゃだめじゃんって。こんなにいいものがあるんだから絶対残さなきゃだめって」
折しも、「塩こうじ」に「甘酒」とブームが続き、免疫力を高めるとされる「こうじ」の注目度がアップ。その追い風と真澄さんの熱意もあって新たに店を構えたのです。
客:
「おいしくて飲んでる、元気も出ますね。今、授乳しているので栄養たっぷりでいい」
人気の甘酒は、プレーンの他、酸味と甘みがマッチする「いちご」も人気です。
(記者リポート)
「こうじだけで作った甘酒をいただきます。甘みがすごく優しくて、スッと入ります。こうじの豊かな香りがふわっと広がるような味わいです」
真澄さんの提案で甘酒は米の粒をつぶしてあります。
24koujiya・西沢義弘さん:
「粒つぶしたら甘酒じゃないと思ったんですけど、妻は『粒がない方が飲みやすい』と。それで実際つぶしてみたら、そうだなって。新しいことを思いついてくれるのは一緒にやっていてすごいなって思うし、ありがたい」
自慢のこうじは「量り売り」をしています。こちらの男性はこうじ10キロを購入。数年前から自宅でみそを仕込んでいるということです。
こうじを購入:
「(市販品とは)やっぱり違いますね、甘さもそうですし。“手前味噌”だけどおいしくできる、こちらのこうじを使うおかげで」
みそよりも塩こうじの方が簡単ということで、作り方を教えてもらいました。
ほぐしたこうじ100gに塩30gを混ぜます。
24koujiya・西沢真澄さん:
「しっかりもんで、ぎゅって、団子になるくらい」
よくもんだら50度から60度のお湯100gを入れます。
24koujiya・西沢真澄さん:
「(タッパーなどは)1日1回、ふたを開けて混ぜてあげて下さい。ガスを出したりするので密閉すると“ボン”ってなってしまうので…」
1週間から10日ほど様子を見ると、塩こうじの完成です。
24koujiya・西沢真澄さん:
「うまみが増すし、お肉は柔らかくなるし臭みが消える。塩こうじを使った料理と使ってないものでは全然違います」
店ではトマトやレモンを加えたさまざまな塩こうじを商品化。
真澄さん一押しの新作「バジル」の塩こうじで、鶏肉のグリルを作ってみました。
24koujiya・西沢真澄さん:
「鶏のもも肉に、バジルの塩こうじ、1枚なら大さじ1~2くらいまぶして、ちょっと漬け込む。それをグリルに入れて焼くだけです」
漬け込んだ肉をオーブンなどで焼く…。
24koujiya・西沢義弘さん:
「焼くだけでレストランの味、みたいな。自分で作っておいてびっくりしました」
「西沢家」のように肉を塩こうじに漬けてから冷凍しておくと…。
24koujiya・西沢真澄さん:
「後は出して焼くだけなので、働く子育て世代のお母さんにおすすめです」
こちらの男性客は須坂市のリンゴ農家。塩こうじにはまり、ある提案をしました。
24koujiya・西沢真澄さん:
「『とれたリンゴで何かできないか』って声をかけていただいて。面白いから何かできないか実験してます」
リンゴ農家:
「リンゴの加工品はジャムやジュースしかない。塩こうじや甘こうじになったら面白そう」
24koujiya・西沢義弘さん:
「もうちょっと試してみます」
こうじを次の世代へ―。
店は魅力を発信し、新たな可能性を探る場になっています。
24koujiya・西沢真澄さん:
「これは次の代に残さなければいけないことだと思っているので。日常に使えるように、そういう情報を発信できる場でありたいと思います」