椿先生、最後の県勢指導

輝く功績、教えは忘れない

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花束を受け取る椿央さん(手前左)=岐阜県恵那市・クリスタルパーク恵那スケート場

 山形中央高のスピードスケート指導者として、2010年のバンクーバー五輪銅メダルの加藤条治(博慈会)らのオリンピアンを育てた椿央さん(55)が本年度で山形を離れる。北海道帯広市を拠点に、自らが携わる日本スケート連盟のジュニア選手強化プロジェクトが4月から本格的に始まるためだ。岐阜県での第76回国民体育大会冬季大会が県勢として参加する最後の大会。最終日の31日には、長年の指導に感謝して関係者が花束を贈り、功績をねぎらった。  椿さんは昨年3月末で教諭を退職し、現在は日本スケート連盟に所属。アカデミーヘッドコーチとして本年度はスカウティングや練習環境の整備などの下地作りに取り組む一方、時間を見つけて本県選手の指導にも当たってきた。  重視してきたのが「考える力」だ。与えられたメニューをただこなすのではなく、技術や体力を高めるために「自分には何が必要か」ということを選手自身が理解する大切さを説いてきた。  これまで多くの選手が山形中央高に越境入学して技術を磨き、活動の舞台を広げていった。北海道出身で現在3年生の小谷駿太朗は今大会で全国初入賞し、「先生が常に口にしてきた成功を信じる力『成信力(せいしんりょく)』を胸に培ったものを出し切ることができた」と振り返る。世界に羽ばたいた長野県出身の3年生高橋侑花も「自分で考えることが成長を後押しした」と実感している。  椿さんは今大会、本県選手団のコーチとして選手たちにアドバイスを送ってきた。県勢は優勝1を含む15の入賞をマーク。全日程終了後のミーティングで選手に向けた「練習は裏切らない。頑張って練習して、もっと上を狙ってほしい」との叱咤(しつた)激励が“最後の指導”となった。成年女子の石井環監督から花束を受け取った椿さんは「初めは苦労したけど、ここ10年ぐらいでやっと少年と成年の戦力が充実してきた」と31年間の山形での活動を振り返り、「この勢いを絶やすことなく前に進めてほしい」と思いを託した。 【プロフィル】つばき・ひろし 1990年に山形中央高に着任して以降、本県スピードスケート界をけん引。長野県で開かれた91年の国体成年男子A5000メートルを制し、翌年のべにばな国体は個人2種目で準優勝。指導者として加藤条治をはじめ、小田卓朗(開発計画研究所)、ウイリアムソン師円(日本電産サンキョー)、一戸誠太郎(ANA)の五輪選手らを育てた。2015年の山新3P賞(進歩賞)受賞。北海道むかわ町出身。