【K―1】「武尊の夢を潰す!」レオナ・ペタスが亡き母に誓うベルト奪取

公開練習を行ったレオナ・ペタス

夢を奪う。立ち技格闘技イベント「K―1」の年界最大イベント「K’FESTA4」(3月28日、日本武道館)で武尊(29)のスーパーフェザー級王座に挑戦するKrush同級王者のレオナ・ペタス(28)が1日、LARA TOKYO江古田で公開練習を行った。

シャドーとミット打ちで軽快な動きを披露し、順調な仕上がりをアピールしたレオナは「この試合は(結果次第で)どっちかの夢が潰れることになる。夢の奪い合いなので」と語気を強めた。その夢とは、武尊にとっては〝神童〟那須川天心(22)戦の実現、レオナにとってはベルトを奪取して昨年亡くなった最愛の母に捧げることだ。

2人はアマチュア時代に2戦しており1勝1敗の五分。そんなライバル関係にあるK―1王者とKrush王者の一戦は当初、昨年11月3日の福岡大会で予定されていたが武尊の左拳負傷で今年1月24日に延期になった。しかしそれも緊急事態宣言の発令を受け、3月の日本武道館の開催にスライド。するとその間に、この試合を取り巻く状況は大きく変わった。武尊が大みそかのRIZINさいたま大会に姿を見せて那須川の試合を観戦し「僕の意思表示です。来年実現させる決意を込めて来場しました」と団体の壁を超えた対戦の実現に動く決意を明かしたのだ。

この武尊の行動で一気に高まった〝スター対決〟実現の機運は、一気にレオナ戦の注目度を超えた。この状況にレオナは「僕を見ずに那須川天心選手を見ていると、武尊選手は痛い目を見るよって思っています」と厳しい口調。さらに「そのカードは僕自身も見てみたい。でも僕は階級が違うんで、そこに割り込む気はないです。あの2人は55キロくらいがベストだと思うので。60キロ(スーパーフェザー級)最強はK―1だと思っているんで、そのベルトを取りに行きます。世間のみなさんがそっちに注目するのはいいと思うんですけど、僕と武尊選手の試合が60キロ最強(を決める試合)なんで、こっちもぜひ、注目お願いします」と話した。

現時点で「武尊vs那須川」は場所も日程もルールも、そもそも「やるかどうか」も決まっていない。それはつまり、武尊や那須川に土が付けば、状況が一変することを意味している。それを十分承知しているからこそ、レオナは「武尊選手は那須川天心選手とやりたいでしょうけど、僕は母のためにベルトを取りたい。この試合で、その夢のどちらかが潰れることになる。夢を奪う覚悟はもっているので。勝負は本当に楽しみだし、みんなにも楽しみにしてほしいと思います。見てもらえば、どれだけ僕が覚悟決めて命懸けているか分かると思う」と決意を口にした。

ベルトを見せると誓った愛する母・加藤美香さんは昨年3月31日に闘病の末、ガンで亡くなった。リングで戦い続けるレオナを誰よりも応援し支え続けてくれた存在だった。「母とのラインを見返していたら、去年の3月28日に最後のやりとりをしていて…。そういう日なんだなって。母のいたずらかなって思います」。宿敵を下し、天国の母に何としても歓喜の姿を見てもらうつもりだ。

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