【PGA】パトリック・リードは救済のルール処置めぐり後味の悪い優勝 競技委員待たずボールを拾う

優勝トロフィーを掲げるパトリック・リード(ロイター=USA TODAY)

ゴルフの米男子ツアー「ファーマーズ・インシュアランス・オープン」はパトリック・リード(30=米国)が5打差で圧勝した。だが救済のルール処置をめぐって後味の悪さが残った。

問題となったのは3日目の10番パー4でのこと。リードがフェアウェーバンカーから打った2打目は左のラフへ飛んだ。

ボールは深いラフにすっぽり。リードは「ボールが地面に食い込んでいる」として無罰での救済措置をした。

この日は前日の大雨に対するローカルルールで「フェアウエーにあるボールは無罰で拾い上げて拭くことができる」ことが許可されていた。

リードのボールはラフなので対象外。ただし、着弾した衝撃でそのまま地面にくい込んでいれば、ローカルルールに関係なく救済の対象となる。

深いラフに埋まっているボールが地面にくい込んでいるかの判断は難しいところ。競技委員を呼んで判断を仰ぐのが望ましいが、なぜかリードは競技委員が来る前にボールを拾い上げた。

さらにボールが落下の勢いでそのまま地面にくい込んだのか。バウンドした後なのかをめぐっても大きな議論となった。

無観客のため至近距離での目撃者はなし。リードは近くにいたボランティアにボールがバウンドしたかを聞き「しなかった」と言われたために救済措置を受けたが、テレビの中継映像ではボールがバウンドした様子が映っていた。

残り163ヤードからのこのショットは距離的にショートアイアン。高い弾道で打ち出されたボールが左サイドのカート道よりも左に向かえば、行方が気になって選手もキャディーもボールを凝視するはずだが、バウンドしたかどうかは確認できなかったということか…

この件については競技委員が「ボールはバウンドしなかった」の証言を元に、ボールがあった位置の状況を確認して無罰での救済を許可した。

3日目は18番パー5でのローリー・マキロイ(31=英国)も同様に、映像ではバウンドしてからラフに止まったように見えるボールに対して無罰の救済を受けた。

ただしボールが飛んだ距離はリードが130ヤードほどだったのに対してマキロイは190ヤード弱。大きな木にさえぎられてボールが一度視界から消えたのに加えて、弾み具合もリードに比べて低かったため、マキロイからは確認できなかった可能性もある。

米ツアーは翌31日になって「リードとマキロイの処置はいずれも問題なかった」とのコメントを発表した。

リードは5打差の圧勝で、マキロイは8打差の16位。謝った処置をしたとして2打のペナルティーを科されても大勢に影響はなかったとはいえ、議論を呼ぶ結果となった。

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