非正規もう一つの格差…将来的にも年金などで大きな差に

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。1月13日(水)放送の「オピニオンCROSS neo」では、株式会社キャスター取締役COO石倉秀明さんが“非正規雇用の格差”について述べました。

◆非正規は正規に比べ、待遇や給与面に格差が

田村厚生労働大臣は、営業時間短縮に協力した首都圏1都3県の大企業飲食業などが対象の最大全額への雇用調整助成金助成率引き上げに関し、「大企業の負担分もなくなるので非正規従業員を含めて休業手当を出してほしい」と呼びかけ、「雇用調整助成金を活用して雇用を守ってほしい」と改めて強調しました。

非正規の問題として、正規に比べ待遇や給与面などで差がありますが、石倉さんは「将来的にもらえるお金や補償、セーフティネットにも差があるので、両方セットでやらないといけないのではないか」と指摘します。

現行の公的年金制度は、いわゆる2階建てで、1階はみんなが入っている国民年金。2階は会社員や公務員が国民年金にプラスして入る厚生年金で、いわゆる第2号被保険者とされています。自営業やフリーランス、従業員ではない人は国民年金のみの第1号被保険者で、これは彼らが何歳まででも働けるからという前提。一方、第2号被保険者は定年があり、「高齢になったときに入るお金を増やすために厚生年金がある」と石倉さんは解説。

なお、厚生年金の有無で年金額にどれ程の差があるかと言えば、収入によって違いはあるものの、厚生労働省が出している平均値を見ると2倍以上。MCの堀潤も「国民年金だけではしんどいイメージがある」と言います。

◆非正規、もう1つの格差を埋めるには…

厚生年金の対象となるのは、フルタイムの正社員か月の4分の3以上働いている人でしたが、2016年に改正。従業員500名を超える会社は「週の労働時間が20時間以上」、「雇用期間が2ヵ月超」、「賃金月額が8.8万円以上(年収106万円以上)」、「学生ではない」といった条件を満たせば正社員でなくても厚生年金に入れることに。しかも、2022年10月からは従業員数100名超、2024年10月からは50名超に広げられるなど少しずつ改善されています。

しかし、これでどのぐらい人が厚生年金に入れるかというと、現状は非正規の約70%、およそ1,500万人をアルバイト・パートが占めるなか、1,000万人程度が非対象者。ちなみに2016年の改正で対象となったのは40万人程度と言われており「全然足りない」と嘆く石倉さん。

非正規は仕事が失われやすい立場にあり、なおかつ賃金も安い上に将来的にもらえるお金も少ないだけに、石倉さんはそれらを改善し「(厚生年金の)全員適用まで目指してもいいのではないか」と主張します。

ただ、厚生年金に入るとその分手取りが減ってしまいます。そのためセットで考えていかなければいけないのは「同一労働同一賃金の達成」、「最低賃金の継続的な引き上げ」。そして、厚生年金の全員適用まで考えるとなるとさらなる問題も。

現状では、俗に言う第3号被保険者や専業主婦などの扶養控除対象者は税金や年金を免除。また、彼らを雇っている事業者も年金を免除され、さらには社会保険の負担なく人が雇える仕組みになっているため、その撤廃を訴えます。その他にも個人事業主やギグワーカーまで適用を拡大するか、はたまた働き終わってから次に働くまでの時間を考えるインターバル規制など問題は山積み。

共に考えていくべきこれらの課題を挙げつつ、石倉さんは改めて「今ある待遇と将来的な待遇、両方を考えた設計が大事」と訴えていました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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