田中哲司の青年期を佐藤隆太が演じる「SPEC」新作が完成

Paraviで2月18日から独占配信される「SPECサーガ黎明篇『Knockin’on 冷泉’s SPEC Door』~絶対預言者 冷泉俊明が守りたかった幸福の欠片~」(深夜0:00)の制作発表会見が行われ、田中哲司、佐藤隆太、鈴木紗理奈、大政絢、堤幸彦監督、植田博樹プロデューサーが出席した。

同作は、2010年の10月期にTBS系の「金曜ドラマ」枠で放送された「SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~」の放送10周年記念プロジェクトとして制作。「SPEC」のキーマンであった田中演じる冷泉俊明を主人公に、奇抜な衣装とセリフ、物語の鍵となる預言の数々で抜群の存在感を放っていた冷泉と、侍従の豊福真己が過去を回想する形で物語が展開。若かりし頃の冷泉は、本名である鈴木俊明の名で、健康食品の訪問販売営業マンとして働いていた。そんな若かりし頃の冷泉役を佐藤が演じ、冷泉が預言の能力を手にした過程が描かれる。「ケイゾク」に登場した木戸彩の妹・木戸晶役で鈴木、鈴木(冷泉)がひかれる女性・赤木美里役を大政が務める。

自身の若かりし日々を演じた佐藤について「素晴らしかった」と絶賛した田中は、「顔も違うので『あれっ?』と思うかもしれないですが、本編ではうまくできています」と説明し、作品の魅力については「堤監督節が全開で、間抜けなことを…いや言葉を間違えました、ユーモアのあることを全力でやっている部分」とアピール。撮影は短い時間ながら「あの衣装とカツラの着ぐるみ状態で、早朝から深夜まで撮った時に、撮影後に自律神経をやられて、2、3日体温の調節ができなかったです」と暑さの中で過酷な撮影だったことを明かした。

田中が作り上げた冷泉というキャラクターの青年時代を演じることに「プレッシャーがあった」という佐藤は、「若かりし頃といっても僕40歳になりますから」と苦笑しつつ、「そもそも僕のところになんでオファーが来たのかびっくりしましたけど、監督や植田さんから気にせず思い切りやってくださいと言っていただけたので、思う存分、現場の雰囲気を堪能させていただきました」と話した。堤組での撮影については「思い切り自分の体のエネルギーを発散させて、臨める現場で。奇をてらうとか、ふざけるとかではなく。真面目に体全体でお芝居できる、数少ない現場なのかなと思っていて、思い切りやっていいよと言われた言葉をありがたく頂戴して、全身の力を振り絞って演技するのが楽しかった」と回顧。そして、「僕は21年前に、堤さんの連続ドラマ『池袋ウエストゲートパーク』(TBS系)でデビューをして、20年経ってエネルギッシュな現場の雰囲気をもう一度味わえたのがうれしかったですね」と感慨深げに話した。

鈴木は「役柄の年齢が26歳くらいの設定で、無理があるのは自分でも気付いているんですが…」と話し出すと、監督や出演者たちから「そんなことない」と声がかかり、「現場でもそう言ってくださって、自信満々に演じさせてもらいました」とにっこり。また、ドラマのファンだったという大政は「堤さんにどういう要望をいただけるのかなと思ってドキドキしていました」と撮影前の心境を明かし、「2日目くらいの撮影の時に、隆太さんとナースの役の方がフランス語でお芝居をしていて、台本にない分も『ここもフランス語にして』って(堤監督が)指示されていて、皆さんの対応力を見て『堤組はやっぱりすごいんだな』と思って。2日目から緊張しっぱなしだったんです。毎日緊張しながら現場に行っていました」と振り返った。

劇中、冷泉はレモンをかじり「テクマクマヤコン」などと呪文を唱えると未来を預言できるというキャラクターだが、撮影ではかなりの数のレモンを食べたという田中と佐藤。田中が、自分以上にレモンを食べていたという佐藤を称賛すると、佐藤は「自分が食べてみると、哲司さんが今までどれだけ努力されて、すっぱい思いをされてやってきたのか、身に染みて分かりました」とコメント。すると田中は「すっぱさよりも苦さを、体が受け付けないんだよね」とこぼし、佐藤も「歯茎がマヒしてくるというか感覚がなくなる」と苦労を明かした。

2人の会話に、堤監督は「佐藤さんは全然平気なのかと思っていた。なんの感情もなく(かじっていたので)、すごいなと思っていた」と言うと、佐藤は「先輩がやられているのを継がせてもらうというもの変ですが(笑)、初代に、失礼のないようにやらないといけないなと思っていた」と返答。続く堤監督の「役者魂でこらえたんですね」との言葉に、「カッコよく言うと」と笑った。そして「免疫があるのかと思っていた」と話す堤監督に佐藤は、「(リハーサルなどで)『ここは大丈夫だろう』と思うところでも、監督から『かじりましょう』と言われた」と暴露した。

会見の最後には、放送開始日の2月18日が田中の誕生日とのことで、花束が監督を贈呈。田中が「まさか合わせたわけではないですよね?」と質問すると、植田プロデューサーが「合わせたんです」ときっぱり。「マジですか、なんてことするんですか!」と驚く田中に、植田プロデューサーは「せっかくならと思って。哲司さんがあのキャラクターを作ってくれなかったら、この瞬間はなかったので」と感謝の言葉を伝えると、恐縮しきりの田中。さらに、大政、佐藤、植田プロデューサーも2月生まれということで、それぞれに花束が手渡されると、「裏方がもらっても仕方ない…」という植田プロデューサーが、鈴木にバトン。「植田さんからせしめた花束」と笑う鈴木が花束を胸に抱え、記念撮影が行われた。

© 株式会社東京ニュース通信社