榎木淳弥◆「一番指摘が多いのは福井弁のアクセントです」小野賢章◆「灰島だからこその絶妙なラインを毎回探っています」蒼井翔太◆「遅めの青春時代を今送らせていただいている感覚です」

現在、フジテレビ“ノイタミナ”ほかにてアニメ「2.43 清陰高校男子バレー部」が放送中。福井県の高校の弱小男子バレー部が全国大会を目指す物語で、バレーの描写だけでなく心の機微や人と人との関わりも丁寧に描くスポーツ群像劇だ。

今回は、本作に出演中の榎木淳弥(黒羽祐仁役)、小野賢章(灰島公誓役)、蒼井翔太(棺野秋人役)の3人にインタビュー! 取材当日、初めて3人でアフレコしたという彼らに、作品の印象や芝居について聞いてみた。また、「高校生に戻れるとしたら?」といった質問では、話が盛り上がり…!?

――「2.43 清陰高校男子バレー部」の原作や台本を読んでみて、どんな印象を受けましたか?

榎木 「原作自体は青春小説ということで、爽やかな内容をイメージしていたんですが、いざ読んでみるとだいぶ重い話が続きました。特に序盤の灰島のエピソードは重かったですね。ただ、それを乗り越えていくところが“青春だな”と。物語って得てしてそうだと思いますけど、乗り越えていく姿が描かれていくじゃないですか。そして、乗り越えた姿が爽やかでまぶしい…。スポーツ以外にも楽しめる要素があるなと感じました」

小野 「僕は灰島役なので台本を読む時は灰島のセリフに注目していますが、そこで思ったのが真っすぐなセリフが多いということでした。特に灰島はそうだなって…。真っすぐすぎて、人とぶつかってしまうこともあるけれど、そこに若さや青春を感じます。あと、僕からすると“言わずとも分かってくれ、察してくれ”と思ってしまいそうなこともちゃんと言葉に出して伝えるところが印象的。伝えることの大切さをあらためて感じる作品でもありました」

蒼井 「こっ恥ずかしい言葉をストレートに言えてしまうキャラクターもいれば、自問自答を繰り返すキャラクターもいて、いろんな高校生たちのみずみずしい姿を見られます。“僕も高校生の頃、こんなふうに自問自答してたな”と共感しながら読んで、遅めの青春時代を今送らせていただいている感覚です」

――皆さんはそれぞれメインキャラクターを演じていますが、ご自身が担当されるキャラクターと似ているところはありますか?

榎木 「僕は…メンタルが弱いところは似ていると思います」

蒼井 「へえ! 榎木くんも弱いの?」

榎木 「はい。別に傷つきやすいわけではないんですけど、軸がブレやすいです。もう、ブレブレ(笑)。心の中に“こうだ!”という揺るぎない何かがないので、言っていることがコロコロ変わってしまうんですよね」

小野 「僕はあまりピンとこないな。何かあるかな?」

――高校時代の自分と比べてみてどうですか?

小野 「僕、高校時代はスポーツをやっていなかったので、“目標に向かってみんなで頑張る”という感覚があまりないんですよね(笑)。高校生の時は軽音部に所属していて、ダウナーな感じで、練習のためにスタジオを借りたいからメンバーみんなでバイトばかりしているという高校生活でした。この仕事を始めて、高校生を演じる時に自分の高校時代を思い出すことは多いんですけど、“スポーツをやっているのといないのとでは結構違うな”って感じます」

蒼井 「僕も、似ている部分はないかもしれない! 実は僕、中学の時に2カ月くらいバレー部に入っていた時期があるんです。その時から(自分の身なりを指して)こんな感じだったので、男子バレー部の顧問に『集まれ』と言われて集まったのに『君は違うよね?』って言われたことがあるんですけど…」

小野 「それはなかなかだね…!」

蒼井 「なので、僕はからかわれて女バレ(女子バレーボール部)に行かされようとしていたんですけど、棺野くんは日光アレルギーで体質的に外に出られないから、女バレと合同練習しているんです。似ているようで全然違いますよね。バレー部自体もすぐに辞めてしまったので、共通点を探すとなっても難しいんです」

――確かに。では実際に演じてみて、どんなところに気をつけていますか?

小野 「灰島は、嫌な性格じゃないんですよ。相手と衝突してしまう時も、別に悪意があるわけじゃない。灰島的にはただの指摘だったりするし、より良い環境でバレーをやるために正しいと思って言っていることばかりなんですよね。だから、悪意を込めないように気をつけています。言葉自体はキツいので、どう表現するべきか悩むことも多いんですけど、灰島だからこその絶妙なラインを毎回探っています」

蒼井 「僕は、キャラクターの息遣いを感じられるように意識しています。僕、アニメーションに実写で出演したこともあるくらいで、『CV:蒼井翔太』と表記されると僕の顔が思い浮かんでしまうこともあるようなんです。ただ、キャラクターは僕ではないし、作品の中で生きている1人の人なので、演じさせていただく時は、ただ声を吹き込むのではなく“本当に生きてる! 息をしてる!”と思えるようなアプローチを常に考えています。この作品に限らず思っていることですね」

――顔出しのお仕事が増えている今、多くの声優さんが抱えている葛藤かもしれませんね。

蒼井 「ただ、この作品で榎木くん、賢章くんと一緒にアフレコさせていただいて、黒羽くんも灰島くんも“生きてる! 息してる!”って感じました。僕の思いは間違っていなかったと実感しましたね」

――榎木さんは、今作のお芝居で気をつけているところはありますか?

榎木 「一番指摘が多いのは福井弁のアクセントです。東京出身の僕にとって、方言ってアクセントが気持ちいいところに来ない感覚があるんですよ。だから“こんな感じかな?”でやると絶対に外してしまう。関西弁になってしまうんですよね」

――近いところはありそうですけどね。

榎木 「でも、福井の人から言わせると全然違うらしくて…。そのあたりはすごく気をつけているところです。しかも、そこにお芝居も乗せなきゃいけませんからね。何度も繰り返すことでようやく慣れてきて、今は最初ほど苦労することはなくなりましたけど、最初は本当に大変でした」

――では、ここまで放送されたエピソードで印象深いシーンも聞きたいです。

榎木 「黒羽的には2話(1月14日放送)の最後あたりかな」

小野 「『お前の評判ガタ落ち』っていうところだね」

榎木 「で、灰島と別れてしまったところ。ここで初めて自分の気持ちを再確認します。やっぱり、これがないと次につながらない大事なシーンですから。それに、まだ福井弁に苦戦していた頃なので、ますます印象深いです」

小野 「僕も2話かな。灰島の印象がとても悪い頃で、ツンツンしているし過去も分かっていないし、みんなが“何だ、こいつ?”と感じていた頃だと思うんですけど、ふと“あっ、この子はバレーが好きなだけなんだ”と垣間見える瞬間があるんです。そこが“いいな”と思ったし、“こんな最悪な終わり方をしてこの先どうなるんだよ!?”と気になった気持ちも含めて2話を推したいですね」

蒼井 「僕は4話(1月28日放送)。部活ならではの行事の一つでもある、合宿をする回です。棺野くんが頬を赤らめるシーンは“お? おぉ? 棺野~?? どうした~?”と、からかいたくなるような部分なので、どうしても印象に残っています(笑)。僕自身、そういう行事をやってこなかったので、純粋に“楽しそうだな”という気持ちもありましたね」

――では、もし今から高校生に戻れるとしたら何をしたいですか?

蒼井 「僕は男友達が全くいなかったので、“今の自分があの時代に戻れるなら男の子の友達をたくさん作れるかも!”と思いますね」

榎木 「そんなにいなかったんですか?」

蒼井 「いなかったんだよね。ご飯を食べる時も、大体女の子3~4人と、僕1人。当時からメークもしていたし、TV番組も女の子の方が話が合ったから大体そんな感じでした」

榎木 「逆にうらやましいけどな。僕は部活の剣道ばかりしていたので…」

蒼井 「剣道部ってモテそうじゃない?」

榎木 「いやいや、全然モテなかったです。遊ぶ時間もないし。もうちょっと遊びたかった…」

小野 「僕も! 遊びたかったなぁ」

榎木 「分かる分かる。女の子と一緒に下校とかしてみたかったもん。今言ったところで、だけど…(笑)」

小野 「1学年上にめちゃくちゃ好みの先輩がいたんだけど、声を掛けないまま卒業していっちゃったんだよね」

榎木 「結局2人とも女の子絡みだった(笑)。まあ、そういうことあるよね」

【プロフィール】

榎木淳弥(えのき じゅんや)
10月19日、東京都生まれ。天秤座。A型。アニメ「呪術廻戦」(TBS系)、「天地創造デザイン部」「はたらく細胞BLACK」「蜘蛛ですが、なにか?」「アイ★チュウ」(いずれもTOKYO MXほか)、「プレイタの傷」(TBSほか)などに出演中。Netflixオリジナルアニメシリーズ「天空侵犯」は2月25日より全世界独占配信。


小野賢章(おの けんしょう)
10月5日、福岡県生まれ。天秤座。A型。アニメ「SK∞ エスケーエイト」(テレビ朝日系)、「文豪ストレイドッグス わん!」「バック・アロウ」「Dr.STONE STONE WARS」(いずれもTOKYO MXほか)などに出演中。「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」は5月7日公開。


蒼井翔太(あおい しょうた)
8月11日、福井県生まれ。獅子座。B型。アニメ「キンタマーニドッグ」(ABCテレビほか)、WEBアニメ「とーとつにエジプト神」などに出演中。ドラマ「REAL⇔FAKE 2nd STAGE」(TBSほか)が今年放送。

【作品情報】

「2.43 清陰高校男子バレー部」
2月11日
フジテレビほか
木曜 深夜0:55~1:25

原作は、2012年から連載が続いている壁井ユカコによる人気小説。幼なじみの黒羽(榎木)と灰島(小野)、さらに青木(梅原裕一郎)、小田(伊東健人)、棺野(蒼井)、大隈(木村昴)らが所属する福井県の七符清陰高校の弱小男子バレー部。彼らが全国大会を目指す姿を熱く描く。

【プレゼント】

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(応募期間:2021年2月3日正午~2月10日午前11:59)

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取材・文/松本まゆげ 撮影/為広麻里

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