楽天島内、今年で“コメント王”が見納め? 「いい歳なんでふざけず真面目に」

楽天・島内宏明【写真:荒川祐史】

故障防止へ「初めてストレッチを取り入れた」

「今年は何かあるかもしれませんね」。節目のプロ10年目を迎えた楽天・島内宏明外野手に、明るい予感が漂っている。2日が31歳の誕生日だったが、今年は例年2月3日の節分が、1897年(明治30年)以来124年ぶりに1日早い2日となった。地球が太陽を回る周期がきっちり365日でないことから起こる現象だったが、生まれて初めて誕生日と節分が重なりご満悦だ。

昨季中に国内FA権を取得したが、行使せず残留。「もっと野球がうまければFA宣言していたと思う。そこまでの自信がなかった」と、“らしさ全開”のコメントを残したが、球団はプロ入りから楽天一筋9年、コンスタントに活躍してきた貢献度に、自己最高の今季年俸1億2000万円(金額は推定)と4年の長期契約で報いた。

31歳の抱負は「もういい歳なんで、ふざけず真面目にやっていきたいと思います」。というのも、飄々としたキャラクターの島内はシーズン中、お立ち台や球団広報を通して発する、謎めいたユニークなコメントで知られる。例えば「昨日コンビニに行ったら、知らないおばあちゃんにいきなり声をかけられ、バッティング指導を受けました」。登場曲を変えた日に殊勲打を放ち、「スリラー打法です」と名付けたこともある。

4年契約初年度の決意「今年ダメだったら…」

「今年は内田(靖人内野手=8年目・25歳)が頑張るらしいです」と“コメント王”禅譲をにおわせたが、果たしてどこまで本気なのか……。節分の豆まきに引っかけ、「払いたい“鬼”は去年多すぎた三振」と笑わせた。昨季も114試合に出場しリーグ8位の打率.281、8本塁打53打点9盗塁と安定感抜群の成績を残したが、自己最多の71三振を人知れず猛省しているのかもしれない。

過去9年のプロ生活は毎年のように、故障との戦いを強いられてきた。「今年はこれまで1回もやったことがなかったストレッチを取り入れた。打撃でも守備でも柔軟性を意識してやっていきたい」と明かしたのは、技術的なこともあるが、まずは故障による離脱を避けようという意思の表れだろう。

自主トレ期間中には「今年ダメなら複数年にしたからといわれるのでキャリアハイを目指したい」と語ったこともあり、今年にかける意気込みは並々ならぬものがある。

チームにとっても、2011年の東日本大震災発生から10年の特別なシーズンとなる。同年ドラフト6位入団で、震災発生当時は明大生だった島内だが、今年は8年ぶりに復帰した田中将大投手らに負けじと、主役の座を狙っている。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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