【新日本】SANADA「俺にとってベルトはアクセサリー」 11日に2冠戦挑戦

SANADA(左)は飯伏を締め上げた

11日の新日本プロレス広島サンプラザホール大会でIWGPヘビー級&インターコンチネンタル2冠王者の飯伏幸太(38)に挑むSANADA(33)が、明鏡止水の心境でベルトを狙う。“会話”を求める飯伏からは王座奪取後の展望を問われたが、自身の信念を貫きリング上のみに集中。あくまでペースを乱すことなく、2冠王者とは異なるベルト観を披露した。

悲願のビッグタイトル獲得を目指すSANADAは、飯伏が掲げる2冠統一案にも「興味なし」のスタンスだ。寡黙で積極的に発言を行うタイプではないため、飯伏からは「会話をしよう」と呼びかけられ「ベルトを取った後、何がしたいのか。その目標が知りたい」と“ボール”を投げられた。

しかし、あくまでマイペースを崩さない。「一回もチャンピオンになったことがない人間が、その先のことを話しても説得力がないので。飯伏選手もベルトを取って、発言権が出たから今のような発言をしていると思うんですけど。一つずつ階段を上っていくことが大事であって、今は取ることだけに集中してます」と目の前の一戦だけを見据える。

その裏には確固たる信念がある。主にファッション方面において驚異的なまでに物欲が強かったが、コロナ禍を経て心境に変化が生じた。現在は「シンプリスト」として断捨離をマイブームとする。「余計なものが世の中多すぎるかなって。今、俺、練習着3着くらいしかないです。だからベルトを取る前から取った後のことも言う必要はないし、(飯伏が掲げる)『プロレスを広める』というような誰もが当たり前に思ってることは大々的に言う必要はないかなと思いますね」と王者とは相いれない価値観を示した。

決して王者になることをゴールとしているわけではない。飯伏との主張が平行線をたどる原因はベルト観の相違によるものと分析する。「取った後、何がしたいかってあまりピンとこない。言い方が正しいか分からないですけど、俺にとってベルトは手段なのではなく、持つことによって自分自身が輝くアクセサリーのイメージですね。ベルトによって輝く自分を見せたい。だから一番のものが欲しいんです」

2日の後楽園大会では8人タッグ戦で前哨対決し、飯伏にネックスクリューを決めるなど好調をアピールした。夢を語り野望に燃える王者と、現実を直視し静かな闘志を燃やす挑戦者。対照的な2人が2本のベルトをかけて雌雄を決する。

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