身近な陰謀論者とどう付き合うか…説き伏せるよりも大事なことは?

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。1月19日(火)放送の「オピニオンCROSS neo」では、拓殖大学非常勤講師の塚越健司さんが“陰謀論者との付き合い方”について述べました。

◆アメリカで渦巻く過激な陰謀論

米Twitter社はトランプ氏のアカウントを永久に凍結。暴力をさらに扇動するリスクがあるとし、最も厳しい措置に踏み切った形です。これを受けトランプ氏は「Twitter社は表現の自由をどんどん圧迫している」と非難しました。

塚越さんによると、トランプ氏と陰謀論「Qアノン」の信奉者たちはTwitterを追放された後「Parler」というSNSに集結。ParlerはTwitter以上に表現の自由が許されており、それにより彼らの主張はさらに過激化。その結果、GoogleやApple、Amazonなどの大手IT企業がParlerのサービスを拒否し、現在は利用不可の状態にあると言います。

しかし、Parlerで展開されていた過激な主張の一部はすでにTwitterに流入しており、これが日本でもトレンド入り。なかには荒唐無稽な主張があるものの、「見る限りガチでそれを信じている、言っている人もいる気がする。日本でも強い影響力があることが可視化されてしまっており、アメリカだけでなく日本でも流行っている、陰謀論への警戒感が高まっている」と警鐘を鳴らします。さらには、「こういった警戒感が世界全体に広がり、不安や分断が煽られている」とも。

◆身近な陰謀論者とどう付き合うか…

ただ、陰謀論者との対話は非常に難しく、「特にSNSでは困難」と塚越さん。というのも、何を言っても「その情報は嘘」、「背景には誰かがいる」などと一蹴され、「説き伏せるのは難しい」と説明。

できることとしては「話を聞き続けること。とりあえず何を思っているかを聞くことが大事」と主張します。その際、聞き手側もメンタルへの影響など大変な面はあるものの、話を聞き続けることで「言葉の奥には不安や不満がある」と塚越さん。そういったつらさから陰謀論にハマることもあるため「陰謀論の内容ではなく、その人が抱えているものに注目していくことが大事なのでは」と訴えます。

そうなると、対面で話す分には相手の不安などが窺えるものの、相手の姿が見えないSNSでは何かを感じ取るのがやはり難しいのが実情。総じて塚越さんは、「過激な主張をする人との対話は話の『内容』より、相手の表情や態度といった『形式』に注目しよう(ただし、できる範囲で)」と提起。自分に近しい人が陰謀論者に傾いてきたときには、単純に否定しても反発が来るので、まずは話し合いが大事と改めて強調し、「これはアメリカの話ではなく、日本全体の話で、私たちに非常に関わってくるので考えてほしい」と注意を促していました。

税理士の中島加誉子さんは、そもそも「自分の思い通りにいかないのは何かの陰謀があるから」などと言うような人との対話は諦めていたそうですが、塚越さんの話を聞き、陰謀を信じる人の裏を汲み取ることの重要性を知り、「反省した部分もある」と話します。

一方、キャスターの宮瀬茉祐子は、陰謀論をネタの1つとして捉えていた部分もあったと言い、そこにすがる人のことを思うと「塚越さんのおっしゃる通りその先の原因、その人たちが本来困っているものに目を向けなければいけない」と考えを改めていました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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