河井案里氏辞職

 「知事、男らしくしなさいよ」-彼女の人となりや歩みを紹介するニュース映像でご記憶の方も多いだろう。広島県議時代の2006年、政治資金を巡る不正が取り沙汰されていた当時の同県知事に語気鋭く詰め寄る河井案里氏▲「男らしさ」「女らしさ」を声高に振りかざす不適切さや危うさはひとまず措(お)く。ここで言う「男らしく」は疑惑を潔く認め、説明責任を果たし、出処進退を明らかにすることなのだろう▲あの言葉、あのままお返ししたい-広島の有権者はきっと、そう考えていたはずだ。一昨年夏の参院選を巡る多額の買収事件で公職選挙法違反に問われ、一審で有罪判決を受けた河井案里参院議員が議員を辞職した▲地元紙の中国新聞にこんな記事が出ていた。〈保釈後も国会に出席していない一方で、国から歳費などを受け取り続ける〉-。公設秘書の給与などを含めると〈逮捕されて以降の総額は、案里被告の受領分だけで2053万円余に上る〉▲国会から姿をくらまし、説明責任は放棄して、もらうモノはもらったまま…。辞職願提出後のコメントに「判決には納得しかねる」とあった。納得しかねる-は、こっちのセリフ▲男だ女だ、とは言わない。「政治家らしさ」を見せてもらわねばならない。バッジを外せば終わり、とはいくまい。(智)


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