河北春秋(2/5):イソップ寓話(ぐうわ)のオオカミ少年は何…

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 イソップ寓話(ぐうわ)のオオカミ少年は何度もうそをついて大人の信用を失う。昨年5月、記者会見で麻生太郎財務相は「金利が上がるぞ上がるぞと言ってオオカミ少年みたいなことをやってるわけだよね」と語った▼新型コロナ対応の経済対策に関して「財政健全化が遠のくのでは」という質問に答えた。金利が上がるぞ、財政が破綻するぞ、と言い続けてきたのは歴代の財務省の幹部たち。財務相が財務省をオオカミ少年だと批判したわけだ▼他国と比べるとはるかに多くの資産がある日本政府に、財政破綻の恐れは当分ないという。それでも財政当局は大変な心配性らしい。今回も心配しすぎたのか、新型コロナウイルス対応の改正特別措置法に「補償」が明記されなかった▼休業要請などに応じた事業者への損失補償のことだ。法に基づいて自由な営業を縛る以上、損害の正当な補償が当たり前。政府は「損失を算定するのは困難で時間がかかる」と言っているが、どうもお金を出したくないようだ▼内閣官房参与で経済学者の高橋洋一さんが共同通信の取材に対して「現段階で財政破綻する確率はほぼなく、対策を絞る必要は全くない。コロナ後の増税も不要だ」と語っている。その通りならば、正当な補償や各種の支援を惜しむ理由は見当たらない。(2021.2・5)