豪州SC:7冠王者ジェイミー・ウインカップ、2021年限りでフルタイムからの引退を表明

 オーストラリア大陸を代表する人気ツーリングカー選手権、RSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップで7度のドライバーズタイトルを獲得してきた“セブンタイムス・チャンピオン”ことジェイミー・ウインカップが、2021年シーズン終了をもってフルタイムでの参戦を終了し、引退することを表明。来季以降はTriple Eight Race Engineering(トリプルエイト・レースエンジニアリング)でチームマネジメント職を担うことがアナウンスされた。

 キャリア523戦で通算122勝、222の表彰台を獲得し、89度のポールポジションを記録。7度のシリーズチャンピオンという前例のない成功を打ち立て、スーパーカーの歴史上でもっとも偉大なドライバーとなった男が、ついに引退を決意した。

 すでに測定可能なほとんどの記録で前人未到の数字を打ち立てているウインカップだが、引退に向けたラストシーズンとなる2021年もRed Bull Ampol Racing(レッドブル・アンポル・レーシング)のホールデン・コモドアZBをドライブし、勝利数とポール獲得回数を加算し、チャンピオンシップを勝ち獲る可能性さえ残されている。

 2月3日付でリリースされたチームのステートメントでは、2022年以降はローランド・デーンからチーム・プリンシパルとマネージングディレクター職の双方を引き継ぐ予定で、1990年代にトリプルエイトを創設したメンバーのひとりであるデーンは、2021年一杯まで現在の職務を務めたのち、非常勤顧問として取締役会のトップに留任しチームを支える任に当たる。

 同時にチームは、世界的に著名な実業家でありドライバーやサーキット・オーナーとしての顔を持つトニー・クインが、トリプルエイトの過半数の株式を取得したことも発表。数年前にチームに資本参加していたウインカップも、自らの持株比率を19%に増やし、デーンの娘でフロントメンバーであるジェシカの親子が残る株式を保持する。

「まず初めに、トニーをチームに迎え入れることを歓迎したい」と語った、今週38歳になったばかりのウインカップ。

「僕はビジネスマンとしての彼を非常に尊敬しており、彼のモータースポーツへの情熱は疑う余地のないものだからね。彼がこのスーパーカーに対して投資を増やす決断をしたことは、このスポーツにとって間違いなくポジティブなことだ」

前人未到の通算100勝を達成して以降も勝利を積み重ね、キャリア523戦で通算122勝を記録してきたジェイミー・ウインカップ
2008年の初タイトル獲得から2009年(写真)にかけては連覇を達成。以降、2014年までランキング2位以下を記録していない脅威の安定感を誇る
2018年以降は、宿敵フォード陣営のマスタング登場に押され、タイトル獲得から遠ざかる状況が続いてきた

■第2ドライバーでの参戦等、ふたたびステアリングを握る可能性を示唆

「そして第2に、僕はフルタイムのレースシートから退き引退した後も、なんらかの形でドライブする機会は持ち続けたいと言ってきた。2018年にはチームの株主になることで、トリプルエイトとともにある決意を示してもいる。ローランドが僕を信頼し、チームという家族を託してくれたことを光栄に思う」

 2006年にシリーズデビューして以降、数々の記録を更新してきたウインカップに対し、チームは当然2022年以降も彼がステアリングを握る機会を検討していると明言し、レース距離500マイルを越える耐久カップ指定のレースでは、第2ドライバー登録でチームを助ける可能性も残されている。

「まずは今季、ローランドの代表としての仕事から学ぶ機会を最大限活用するつもりだ。彼が2022年に向けてもチームの競争力を確保するために時間を費やし、僕がその成功を引き継ぐ機会を持てることに感謝したい」とウインカップ。

「そして家族、友人、ファン、パートナーなど、僕のドライビングキャリアの中で、いつも支えてくれたすべての人にも感謝を捧げたい。2021年も確実に、可能な限り最高の結果をみんなに届けられるよう、全力を尽くす決意だよ」

 一方のデーンも、チームが新しい時代に向かう際に手綱を握る人物として「ジェイミーこそがもっとも理想的で、それに相応しい男だ」と語った。

「ジェイミーは数年前、キャリア引退後もチームでの仕事を続けることに興味を示してくれて以来、彼が指揮を採る計画でいたんだ」と明かしたデーン代表。

「彼はこの15年間、ファミリーの不可欠なメンバーであることを証明してきたし、トラックで示すのとまったく同じモチベーション、勤勉さ、そして競争心を持って仕事に取り組むと確信している」

「またCOVID-19は、私が若返らないことを思い出させてくれた。今後はイギリスで長女や家族とより多くの時間を確保するのを楽しみにしているし、トニーがチームのビジネスを引き継いでくれることも喜ばしい。彼の情熱と手腕はトリプルエイトに最適だし、我々は彼を迎え入れチーム継承の基礎を固められたことをうれしく思っている」

2022年以降はローランド・デーンからチーム・プリンシパルとマネージングディレクター職の双方を引き継ぐ
「彼はドライバー時代と変わらぬ熱意で、新しい役割に取り組むと確信している」と語ったローランド・デーン代表
2021年もRed Bull Ampol Racing(レッドブル・アンポル・レーシング)のホールデン・コモドアZBをドライブし、最後のタイトル獲得に挑む

© 株式会社三栄