社説(2/6):森会長の女性蔑視発言/五輪の妨げ 早急に辞任を

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 首相まで務めたというのに、社会常識や国際感覚がなく、危機管理もまるでなってないと言うほかない。
 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長である。日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会で女性を蔑視する発言をし、翌日の記者会見で撤回、謝罪した。
 しかも会見で居直りとも取れる態度を見せ、国内外から厳しい批判にさらされている。森氏は会長職を続けると表明しているが、五輪開催の妨げにしかならない。早急に辞任することを求める。
 森氏は「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」「競争意識が高く、誰か1人が言うと、みんな発言する」「数を増やしていく場合には、発言時間をある程度規制しておかないと」などと述べた。
 女性を見下してからかった、明らかな差別発言だ。見過ごすことはできない。
 水面下で根回しが行われ、本番は異論も出ずに短時間で終わる、いわゆる「シャンシャン会議」。森氏はこれが当たり前と考えているのだろう。
 国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が主導した改革指針「五輪アジェンダ2020」は、参加国の男女比率を同等にする目標を掲げている。この理念に反することだけを持ってしても森氏が会長失格なのは明らかだ。
 「謝罪」会見で「不適切な発言だった。深く反省している」と述べながら、責任を問う質問には「承っておきます」「面白おかしくするために聞いているんだろう」と不機嫌そうに語気を強めた。
 新型コロナウイルスの収束が見通せず、東京大会開催に懐疑的な声が強まっている。国民感情を逆なでしかねないと設けた釈明の場で、かえって火に油を注いだ。
 国際的大イベントの地元トップの発言とあって、性差別に敏感な海外にも即座に広まった。日本のイメージが相当悪化したと言えよう。
 大会まで半年を切った。IOCや日本政府は火消しに躍起だ。IOCは「この問題は決着したと考えている」との声明を発表。菅義偉首相は国会で「(森氏の発言は)あってはならない」と述べたが、森氏の進退については言葉を濁した。
 政府内では、国内外の調整に政治力を発揮してきた森氏が辞めれば余計混乱するとの見方が支配的だ。
 果たしてそうか。
 五輪はボランティアの協力が欠かせない。東京大会には約8万人が必要とされる。組織委の「顔」として協力を呼び掛けるのが森氏だ。誰が快く応じたいと思うだろうか。
 コロナ下で疲労困憊(こんぱい)状態にありながら、協力しなければならない医療従事者も同じだ。選手の士気にも影響する。
 森氏の続投こそ大会の成功を危うくすることを、関係者は認識するべきだ。