目標は「NPBへの復帰」 可能性低くても…元燕・由規があえて口にした理由

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BC埼玉武蔵に入団した由規【写真:新保友映】

ヤクルト、楽天でプレーし今年はルートインBCリーグで再起をかける

2020年シーズン限りで楽天を退団した由規投手が、ルートインBCリーグの埼玉武蔵ヒートベアーズと契約し、先日、入団会見を行った。登録名は「13」年間慣れ親しんだ“由規”。背番号は初めてつける「18」。チームとの契約は会見に先立ち、13時18分に結んだ。ヤクルト時代に長年付けていた「11より、体型的には合っていると思います」と笑ったその顔からは、野球を続けられる喜びが多く伝わってきた。【新保友映】

「目標はチームの優勝とNPBへの復帰」と語る。埼玉武蔵に入団を決めたのも、「角(晃多)監督自らがオファーをして下さったというその熱意と、僕の目標であるNPB復帰へ全力でサポートしてくれるというものがあった」から。

オファーが実った角監督も「NPBに戻れる選手だと感じているからこそ獲得した。一方で(NPB支配下登録の期限である)7月31日までには時間がないので球団をあげてフルサポートする」と言葉に熱を込めた。

由規本人も「怪我もしてきたし、今まで通りではダメだと思う。どこかスタイルチェンジしないといけない。基本はまっすぐで押すタイプだけど、復帰の目標を立てる中で変えていかないといけないところもある。基本的には先発でゲームを作るのが大事だと思うけれど、それだけでは声がかからないと思うので圧倒的なパフォーマンスを見せたいと思う」と何でも挑戦していく思いも口にした。

ヤクルト時代右肩の故障等で5年ぶりに1軍復帰登板を果たしたのは2016年。翌年、こんな話をしてくれたことがある。「正直しんどくて野球から離れたいと思ったことはあります。最初は特に切り替えが難しくて。でもとにかくプラスに考えるしかなくて……。だから目標をはっきりと口に出したりすることに決めたんです」

苦しんでいるとき、親しくしているアーティスト・ONE OK ROCKのライブで彼らが目標を大きなステージで口に出している姿を見て、そういった口にした言葉が言霊となって自分にいい意味でプレッシャーをかけてくれることもあるし、叶えられた時の達成感も大きく得られると感じ、それ以来、由規自身も発言への意識を変え、想いを口に出すことにした。

「今も言葉にするということは変わらず意識しています。元々、ネガティブな性格だけど意識することでポジティブに変わったので。内に秘めるだけでなく発信するのは大事だなと。NPB復帰は難しいと思うけど、そのために野球を続けると決断したので、あえて言うならばそこに向かって全力で投げていたい」と改めて会見の場でも目標を口にした。

ヤクルト時代から応援している由規ファンも多い

会見場には、ヤクルト時代から由規を応援しているファンも姿を見せた。「怪我のリハビリで投げられない間も声援を送ってもらえたことがどれだけ自分の力になったかわからない。また観に行きたいと思われるような選手になるためにも、試合はもちろんサインや交わす言葉などもすごく大事にしている」と以前から語っているように、埼玉武蔵での新しいファンとの出会いや、これまでにないファンサ―ビスから得られるものもきっと大きいだろう。

NPBに復帰することが目標、と宣言することにより、独立リーグのために戦うという意識ではないのか、という声もごくわずかだが聞こえる。しかし、BCリーグの理念が“野球を通じて、地域の方々に夢と感動を与える”であるように、どの場所であっても、どんなものでも夢を持ち、叶えるために自分のできる事を諦めることなくやり通すことは確実に誰かの心を動かし、影響を与えるはずだ。

その夢が、由規の場合はNPB復帰なのである。辛くても苦しくても、その頑張る過程を見せることができる人は強い。今季はまだ新型コロナの影響もどこまで出るかわからない。これまでとは違う環境に戸惑うこともあるかもしれない。それでも由規ならきっとやってくれる、と思わせてくれるのは、様々な苦難を乗り越え継続する力を見せてくれるからだ。

こんな今だからこそ、地域の子どもたち、ずっと応援してきてくれたファンの方たち、さらには日本全国の人たちに、戦う姿を見せるため、由規はマウンドに上がる。(新保友映 / Tomoe Shimbo)